テック業界を揺るがしている景気後退の中でアップルは例外なのだろうか。必ずしもそうではない。アップルは2022年に時価総額3兆ドル(約390兆円)を突破した初の企業だが、同社の株価は同年に27%下落した。ウォールストリートジャーナルによると、アップルは来月、3年以上ぶりに四半期売上高が減少することが予想されている。
Google(グーグル)やMeta(メタ)など同業他社が解雇を行う中、アップルは1月にCEOティム・クックの減給を発表した。また、他のハイテク大手とは異なり、同社は新型コロナウイルス感染症のパンデミック時に積極的に人材を採用しなかった。
ティム・クックの減給
米証券取引委員会に提出された書類によると、クックの2023年の年間報酬目標は4900万ドル(約63億円)で、2022年の8400万ドル(約109億円)から減少している。クックの給与は40%減ることになる。クックは顧問会社Institutional Shareholder Services(インスティチューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)がアップルの株主に対して「計画と規模に関する重大な懸念」を表明し、豪華な報酬パッケージをめぐる抵抗に譲歩したとロイター通信は報じた。結局、株主は64.4%の賛成票を投じてクックの報酬パッケージを承認したものの、クックは減給に同意した。
Alphabet(アルファベット)のCEOスンダー・ピチャイとメタのCEOマーク・ザッカーバーグは、それぞれの解雇につながったとされる不手際について公に説明責任を果たしたものの、どちらも自身の過ちを正すために報酬を削減することを自発的に申し出なかった。その代わり、会社の経営判断に責任を持たない従業員が失業という影響をもろに受けている。
グーグルの親会社であるアルファベットは1月20日に1万2000人の解雇を発表した。ピチャイは今回の人員削減について全社員に向けたメモの中で「ここに至った決断には私が全責任を負っており、過去2年間、我々は劇的な成長を遂げた。その成長に合わせて、またその成長を促進するために、今日直面しているものとは異なる経済実態を想定して人材を採用してきた」と述べている。