研究チームは、ボノボやチンパンジーが最も頻繁に使う10種のジェスチャーをヒトが理解できるかどうかを、オンラインゲーム形式でテストした。
5550人を超える参加者は、ボノボかチンパンジーが、何らかのジェスチャーをする様子が映された短い動画を20本視聴し、各ジェスチャーの意味について、多肢選択式の質問に回答した。
その結果、ヒトは半分以上の確率で、ボノボやチンパンジーのジェスチャーがもつ意味を正確に理解した。
論文で言及されているのは、大きな音を立てて体を掻く(グルーミングを求めるとき)、モノを振る(交尾を促すとき)などのジェスチャーだ。
この研究では、ヒト以外の霊長類がもつ言語理解力を評価する際によく使われるビデオ再生法を逆に利用したと、論文には書かれている。
論文著者の1人であるカースティ・グラハム(Kirsty Graham)は、ヒトがボノボやチンパンジーのジェスチャーを理解できるという知見について、「そうしたジェスチャーが、ヒトを含むあらゆる大型類人猿のあいだで、進化的に古くから共有されてきたジェスチャー表現の一部を形成している可能性を示唆している」と述べている。
この研究に興味がある人は、ジェスチャー当てクイズにオンラインで挑戦できる。
類人猿のジェスチャーを、ヒトがこのように理解できるのはなぜなのだろうか。それは、ヒトと類人猿は、身体的な特徴が似ているほか、同じような社会的目標をもち、一部の一般知能を共有していることが理由ではないかと、研究者は述べている。また、何らかのかたちで遺伝が関係している可能性もある。
ジェスチャー理解に関して、ヒトと類人猿には重複するところがあることを示唆する研究は、以前にも発表されている。2019年に学術誌『アニマル・コグニション(Animal Cognition)』に掲載された研究では、1歳から2歳のヒトの幼児は、言葉を話すようになるまで、サルと同じジェスチャーを50種以上使うことが明らかになった。そういったジェスチャーは、すべての類人猿に普遍的で生得的な能力が存在する可能性を示唆している、と同研究は結論している。
(forbes.com 原文)