Launch Consulting Group(ローンチ・コンサルティング・グループ) のシニアマネージングパートナーでモダンファイナンス部門の責任者であるシャーリーン・コールマンは、AIでの成功に立ちふさがる障壁は、あらゆる分野に共通しているという。しかし、金融サービスにはそれに独自の課題が加わる。彼は「金融システムを『民主化』するためにAIを導入するためには、技術と人材に投資することをいとわない、大胆で人間中心的なリーダーシップが必要です」という。そして「次に、AI戦略を持たない組織は、実験段階から先に進めません。ほとんどの組織が、分析とインテリジェントな提案を許す一元化されたデータバックボーンを持っていないのです。最後に、スピードとアジリティを可能にするために、機能のタコツボから脱却した新しい運用モデルを採用する必要があります」と続ける。
人工知能は「消費者や中小企業経営者の信頼を築けるパーソナライズされた体験を再定義し、回復させることができます」とコールマンはいう。「承諾が事前に得られていることが前提ですが、たとえばAIを活用したパーソナライズされた会話インターフェースや生体認証プロファイルを用いることで、消費者が遅延料金や柔軟性に欠ける支払いスケジュールによって負債を抱える罠を回避するのに役立つことが期待されています」
これは、どんなにうまく設計されているとしても、アルゴリズムを単にサポートするモデル以上のものを構築することを意味する。アウストラートは「人はしばしば、『問題を解決するためには、優れたモデルが必要だ』と思い込んでいます」という。「しかし、そうしたモデルはソリューションの5%に過ぎません。統合、運用、検証、継続的なモニタリング、そして最終的に収益を生み出すのが残りの95%です」重要なのは「モデルをレーシングカーのエンジンに見立てること」だという。「レースに勝つためには、エンジン以外にもガソリン、ショック、タイヤ、ピットクルー、ドライバーなど、多くのものが必要なのです」