「私個人の意見だが、たいていの人は、スタートアップが全体として男性優位の環境であることに気づいている。したがって女性は、自分がスタートアップのなかで少数派になるだろうと予想する一方で、男性は多数派に属するだろうと予想する。少数派であることは、正しく評価されない、孤立する、軽んじられる、不当な扱いを受けるといった心配と切り離せない」と、エンゲルは述べる。男性はこうした悩みと無縁だ。
イーロン・マスクは、Twitterのコードをレビューした際に、側近の男性社員たちと写真を撮って投稿したが、このような発信は、「スタートアップ企業は男性社会」というステレオタイプを強化する。
女性求職者が、就職を検討している企業の内部で女性がどんな待遇を受けているかを懸念していることを示す最近の研究は、ほかにもある。MBAの学生を対象としたある研究では、女子学生は求人応募の際に、ジェンダーに関する「偵察」をおこなうが、男子学生はこうした行動をとらないことがわかった。ここでいう「偵察」とは、MBA学生が、「女性特有のニーズや関心に無頓着な、女性にとって働きにくい職場を回避する」ことをさす。
企業は、男女比の偏りの悪循環を避けるため、創業当初からジェンダーバランスに配慮すべきだとエンゲルは主張する。
「今回の知見は、スタートアップ企業が最初の採用をおこなう段階で、ジェンダーの多様性に注意を向けるべきであることを示している。そもそも採用が男性に偏りがちであるという事実を直視し、意識的に避ける努力をしなければ、スタートアップのジェンダー多様性は、会社の成長とともに低下し、女性を遠ざけることになる。結果的に、企業が取り込めるはずの人材プールを狭めることになるだろう」と、エンゲルは述べた。
(forbes.com 原文)