5つある部門のうち最大のファッション&レザーグッズ部門の売上高成長率(為替変動や買収などの影響を除く、以下同じ)は20%と過去最高を記録し、グループ全体の17%を大きく上回った。主力のルイ・ヴィトンの年間売上高は初めて200億ユーロを超えた。この部門にはほかにクリスチャン・ディオールやティファニーなども含まれる。
次に規模が大きいセレクティブ・リテーリング部門の売上高も17%増と好調だった。化粧品や香水の専門店セフォラが売上高、利益ともに過去最高を更新し、成長をけん引した。セフォラは米国で百貨店のコールズと提携して店舗網を拡大しているほか、近く英国への進出も予定している。ただ、免税店のDFSは中華圏からの旅行者の客足が十分に戻っておらず、苦戦が続いている。
ベルナール・アルノー会長兼最高経営責任者(CEO)は投資家向けの電話会議で、コロナ禍や厳しい地政学的状況といった困難な時期にありながら、LVMH は2019年以来シェアを拡大していると語り、自社製品の「品質と値打ち」を強調した。
投資会社ハーグリーブス・ランズダウンのリードエクイティアナリスト、ソフィー・ルンドイェーツは「アルノーの帝国は過去5年でその価値を200%以上膨らませており、勢いに陰りは見られない」と述べている。「LVMHには非常に信頼できる顧客基盤がある。超富裕層は景気の浮き沈みに左右されないし、物価が上がったところで支出は減らさないだろう」と背景を説明している。
LVMHは事業の平均営業利益率も26.6%と高く、高級ファッション・アクセサリー事業ではさらに高い。ルンドイェーツは、デザインとマーケティング、販売の好循環を継続できている点にLVMHの「真の強さ」があるとみている。また各国、とりわけ中国が国境を再開し、旅行者が戻ってきていることからも、LVMHは恩恵を得ていると分析している。
アルノーは、2022年の好業績を踏まえ「自信をもって2023年に臨む」とする一方、「現在の不透明な情勢に鑑み引き続き警戒していく」考えも示している。
フォーブスのリアルタイム世界長者番付でトップの座に君臨し、現在73歳のアルノーは事業の継承計画に着手している。
(forbes.com 原文)