スティーブ・ジョブズも実践した、経営者の危機の乗り越え方|ポケトーク松田憲幸 #1

ポケトーク代表取締役社長の松田憲幸

「言葉の壁をなくす」をミッションに掲げ、AI通訳機「POCKETALK」シリーズを販売するポケトーク。2022年11月にはDIMENSIONを含め16億円の資金調達も実施し、世界的に躍進を続けている。同社代表取締役社長 兼 CEO松田憲幸(まつだのりゆき)氏に起業家の素養、事業成長の心得などについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤紀行が聞いた。(全4話中1話)


──松田さんが考える「起業家にとって重要な素養」を3つ挙げるとするとなんでしょうか?

定番ですが、まずは「挑戦」と「勇気」。

今までやっていないことにチャレンジしていくことこそが起業家・経営者がやっていくべきことだと思うので、この2つは大事だと思います。

もう1つは「夢を語ること」。

経営者って夢がないといけないと思うんですよね。

これはやっぱり社員の立場になった時に、ただ単に仕事をしていても全然面白くないじゃないですか。

だから例えどんな絶望的な時であっても、”出来るかどうか分からないけど俺達はこっちに行くんだよ”という明るい未来を指し示して「夢を語る」ことは経営者にとって必須条件だと思います。

──それらの素養が大切だと思うに至った原体験などがあればお聞かせください。

これはなぜ私が起業したのかに立ち戻るのですが、ベースとして「社員として自分が企業で働いていた時に物足りないと感じていたところを変えたい」という思いがあります。

つまり社員にとってどういう会社か、という視点が私にとって非常に重要で、「挑戦」しない会社、「夢を語る」ことのできないような経営者は面白くない。それに、経営者の「勇気」がなくて「今週、給与を払えないかも…」といつもビビっていたら嫌ですよね(笑)。

社員の立場から見た時に嫌だったことが、反面教師となり原体験になっているように思います。

危機時にプライドを捨てられるか?

──松田さんは1996年に、ウイルス対策ソフトを開発するソースネクスト社(現在のポケトークの親会社)を創業されました。そこから26年もの間、数多くの危機を乗り越えてこられたかと思います。危機を乗り越える上で重要だったと思われることはありますか。

どんな危機でも必ず策はあるし、経営者が諦めるか否かに尽きる。そのために、私は経営者こそ「プライドを捨てる」ことが重要だと思っています。

私はこの話をするとき、いつもスティーブ・ジョブズさんの例を挙げています。
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文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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