ロシア各地に5000両もの古いT-72が保管されている可能性がある。そのうちのどれだけが錆びておらず、また適切に修理されているかは不明だ。だが無傷の戦車の不足は大した問題ではないかもしれない。むしろ、ウラルヴァゴンザヴォドは戦車のシャシが足りなくなる前に光学機器不足に陥りそうだ。
T-72B3 Obr.2022の最も重要な特徴は照準装置Sosna-Uだ。戦車の砲手が日中でも暗闇でも4マイル(約6.4キロ)先の標的を見つけ出すことができるようにするSosna-Uは、10年ほど前にロシアの産業界が非合法な手段で入手した無認可のフランス製の光学機器を中心に作られたとされている。
ロシアが2014年に初めてウクライナに侵攻して以来強化された外国政府による制裁は、ロシアへの軍事用電子機器の流入を止めはしないものの妨げてきた。ロシア政府はかなりの労力を費やして制裁を受けていない国の仲介業者から入手することで制裁を回避している。
だが精密な製造を得意としないロシア企業が品質を犠牲にすることなく光学機器の製造を真似できるとは考えにくい。つまり、フランス製の部品がなくなるとSosna-Uの生産はかなり難しくなる可能性がある。
すでにそうなっているかもしれない。ウラルヴァゴンザヴォドが改良されたT-72の多くに射程2マイル(約3.2キロ)という大したことのない古い照準装置1PN96MT-02を使っているのには理由がある。同社は以前、ウクライナに送り込んで破壊された一部のT-62に1PN96MT-02を搭載していた。
ロシアの戦車の搭乗員にとって悲劇的なことに、1PN96MT-02も尽きる可能性がある。また、古い照準装置の最新バージョンも供給が制限されるかもしれない外国製の部品を使用している可能性がある。
T-72B3 Obr.2022が照準装置Sosna-Uを搭載した修理された余剰T-72で、T-72B1 Obr.2022は同じ車体に性能の低い照準装置1PN96MT-02を搭載しているとしたら、さらに性能の低い照準装置を備えた次の余剰T-72モデルの名称は何になるのだろうか。
(forbes.com 原文)