人類とAI技術。微妙なバランス
BuzzFeedのペレッティは、アイデアや「インスピレーションを与えるプロンプト(質問)」を提供するという意味で、人間の監督が依然重要であるという。しかし、株主の熱意をかきたてたのは、新しいクリエイティブ技術の実現なのだ。直近の株価の上昇は、ベンジャミン・グレアムが最初に語った「短期的には株式市場は投票機械である」ということを証明している。
「投資家は人工知能に熱狂しています」とトニー・ワンはForbesに語っている。ワンは、サンフランシスコに拠点を置くVCであるReach Capital(リーチ・キャピタル)のプラットフォーム部門責任者だ。しかし、OpenAIが生み出すものに、それほど期待していない人も多い。
リスクとリワード、ChatGPTの可能性
ChatGPTは、学生には熱狂的に受け入れられたが、教育関係者には不信と懸念の潮流が生まれた。教師たちは、ChatGPTによって、純粋な学習の回避はもちろん、剽窃の可能性も1つの潜在的な脅威としてとらえている。なぜなら、トーマス・ハーディ(小説家)やコールリッジ(詩人)のニュアンスを調べることなく、こうした著者の(そしてその他の)トピックに関するエッセイの生成をAIに依頼すればよいからだ。公平を期すために付け加えるなら、教師側もChatGPTに小論文の問題を作成するように依頼することもできる。機械は学術的な方程式のどちら側でも重労働をこなすことができることを思い出させてくれるのだ。
エンジンがより多くのデータを消化し続けることで、ソフトウェアの限界は日に日に少なくなっている。世界で最もパワフルなチャットボットが、最も人間らしい仕事である「学習」と「創造」を行っている。
結局のところ、人間には言語というユニークな能力があり、それが他の動物の世界と私たちを分けている。私たちの言語を発達させる能力は、私たちの祖先がより速く、より強く、より凶暴な獣に打ち勝つことを可能にし、創造性を私たちの周りの世界を形作る強力なツールへと変えた。コミュニケーションとコラボレーションが私たちを生き残らせてきたが、それは数千年前と同じように現在でも真実なのだ。効果的なコラボレーションとコミュニケーションを行う企業は、明快さや価値などのリソースを従業員が求め、顧客が見つける場所となる。私たちの創造性はコミュニケーションの中で生きている、よって最も偉大なリーダーとは(仮にそういう風に見えずとも実質的に)偉大なコミュニケーターなのだ。
言語という才能は、古代の人類をより高みへと導き、それは今日も続いている。言葉は、すべての組織、すべてのリーダーシップ会議、すべての研修旅行、そしてすべての経営者の意思決定の中心にある。そして今、機械は私たちの言語の内側で、学習する方法を学んだ。そして、コンテンツに関する意思決定はまだ人間に委ねられているが、やがてふと思うことになる「これはいつまで続くのか?」
私たちは、言語スキルを共有するためのツールを数多く開発してきた。Slack(スラック)、SMS、Twitter(ツイッター)など、最も人間的な交流である「会話」を共有するためのツールは無限にあるように思われる。そろそろ、ツールが私たちを使い始めたらどうなるのかを、話し合うべきかもしれない。だがAP通信でさえ、AI生成コンテンツの利用を推進している時点で、すでに手遅れなのかもしれない。
(forbes.com 原文)