Tencentの金融部門は、国境を越えた決済サービスを成長させるために、さまざまなグローバルフィンテック企業と提携を続けていく予定だ。同社がパートナーとして数える送金企業には、Wise(ワイズ)、Remitly(レミトリー)、E9Pay(イーナインペイ)、Debunk Remit(デバンク・レミット)、Panda Remit(パンダ・レミっと)、Paysend(ペイセンド)、WireBarley(ワイヤーバーリー)などがある。
送金サービスのユーザーを引きつけるために、Tencentとそのパートナーは補助金を配布する予定で、彼らはこれを「インセンティブプログラム」と呼んでいる。これは、Alipay+とその決済パートナーが行っていることとよく似ているように思う。
障害を克服する
Tencentのクロスボーダー決済ビジネスの限界の1つは、同社が自らコントロールできないという点だろう。そう、中国の資本規制である。中国は世界的にはインドに次ぐ巨大な送金市場だが、Tenpay Global Remittancesにはアウトバウンド決済のための代替レールを構築する機会がまだない。つまり、今のところお金の行き先は中国一択なのだ。Tencentができることは、アウトバウンドのクロスボーダー決済を処理するライセンスを持つ企業と提携することだが、これは明らかに自社で直接決済を処理するのに比べると最適ではない。このため、Tencentは2023年初め、海外留学を選択する多くの中国人学生にとってストレスの少ない学費支払いを目指すスタートアップであるEasy Transfer(イージー・トランスファ)に投資した。
この市場は有望だ。Statista(スタティスタ)がまとめたデータによると、2019年に中国本土以外で学ぶ中国人は70万人を超え、2020年にはわずか35万人に減少したが、Tencentによると「海外留学生」のWeChatユーザーは50万人にのぼるという。
Easy Transferの創業者兼CEOであるトニー・ガオは、2022年1月のTechCrunch(テッククランチ)のインタビューで、インターネット大手が現在、自社の約5%を所有していると語っている。Easy Transfer自体は直接取引を行うのではなく、中国国内でクロスボーダー決済のライセンスを持つ金融機関と連携している。
「マネーロンダリング防止、本人確認、情報セキュリティに至るまで、WeChatはクロスボーダー決済取引をより安全に行う」とガオは語っている。
おそらくTencentは、WeChatのフィンテックエコシステムを海外にも広げつつ、従来の顧客である中国本土の人々にサービスを提供することができるようになるはずだ。
(forebes.com 原文)