ミラノが存分に味わえる、ラグジュアリーで迫力あるアルマーニのコート

袖と背面はカシミアで、前身頃はベルベットが使われた着丈125cmのロングコート。ジッパーで脱着できるキルティングライナーの襟には羊革のシアリングムートンを採用。ライナーにはポリエステルの中綿が使われ、防寒対策も万全だ。¥1210000(ジョルジオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン 03-6274-7070)

Forbes JAPAN本誌で連載中の『紳士淑女の嗜み』。ファッションディレクターの森岡弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る。今回は1月号(11月25日発売)より、「アルマーニ」のコートをピックアップ。


小暮昌弘(以下、小暮):とてもラグジュアリーで、迫力あるコートですね。一枚で主役になれるようなデザインが特徴では。

森岡 弘(以下、森岡):ミラノの大御所、ジョルジオ アルマーニがデザインしたコートです。アルマーニにしかないような要素がギュッと詰まったデザインだと思いませんか。

小暮:ロシアのウクライナ侵攻に抗議してミラノコレクションで、ジョルジオ アルマーニが無音でショーをやったときに発表されたものですね。

森岡:素材も仕立ても、とても手が込んだデザインで、同じようなデザインのコートを探すのは案外難しいのでは。

小暮:前身頃に使われているのは光沢あるベルベット素材。袖と背中に使われている素材がカシミア。襟に使われているのがシアリングムートン。上質な素材がこれでもか、というくらいに使われています。

森岡:キルティングライナーはジッパーで取り外しもできます。そういった機能的な要素をもちながら、全体としてエレガントに仕上がっているのがジョルジオ アルマーニらしいデザインと言えると思います。

小暮:このロングの着丈も素敵ですね。なんと125cmもあります。これもエレガントさを漂わしている秘密では。

森岡:そう、この着丈はいかにもアルマーニらしいところかもしれないですね。

小暮:カジュアル全盛の時代にあえてこの長さのコートをデザインする。アルマーニの心意気さえ感じますね。

森岡:僕、実は彼がデザインするコートが大好きなんですよ。

小暮:よく存じております(笑)。

森岡:少し前になりますが、同じジョルジオ アルマーニでムートンコートを手に入れました。一枚仕立てのムートンコートで、毛先をレーザーでカットしていると聞きました。いまもよく着ていますし、着ていると「そのコート、いいね。どこのブランド?」と聞かれるんです。

小暮:ジョルジオ アルマーニは、ジャケットの帝王、ソフトスーツの生みの親、とよくいわれます。『ジョルジオ・アルマーニ帝王の美学』(レナータ・モルホ著 日本経済新聞出版社)のなかで、彼は「仕事をしている人のための服をつくるのが好きなんだ」と語っています。

ソフトスーツにしても働きやすさや快適さを追求した結果、あのような仕立てと構造、そして素材に行き着いたのだと思います。それはコートについても同じです。だから彼のコートは森岡さんのようなファンも多い。森岡さん、彼はミリタリーウェアに関しても造詣が深いと聞きますが、このコートにその影響は見られますか?
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photograph by Masahiro Okamura|text by Masahiro Kogure|fashion direction by Hiroshi Morioka|illustration by Bernd Schifferdecker edit by Akio Takashiro

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