フルタイム従業員を置かず、特定の業務を、フリーで仕事を請け負う業者に完全に任せているスタートアップが増えていると、バックワイツは話す。フリーランサーたちは「その仕事を優秀にこなす」という。
テック企業は何千人という規模で従業員を削減し、企業は採用凍結を発表している。さらに、インフレ下では、給料はそれほど上がらない。そうした状況を受けて、より多くの人たちが(そして、バックワイツの顧客をはじめとする企業各社も)、請負業務にますます依存するようになっている。不足分を補い、収入源を守り、腰掛け的な仕事からフルタイムのキャリアをつくろうとしてのことだ。
こうした流れが生じているのは、テックスキルを持つ人たちの不足を補うためだけではない。フリーランス向けプラットフォーム「Upwork(アップワーク)」が2023年1月に発表した最新リポートによると、最も需要の高いフリーランスのスキルには、会計業務やリードジェネレーション(見込み客の獲得)、データ入力、カスタマーサービス、グラフィックデザインなどもある。
Upworkは、フリーランス向け求人や、企業と個人事業主・エージェンシーをマッチングするプロジェクトを掲載しているプラットフォームだ。このUpworkで、収入が前年比で最も増えたスキルは、セールスとビジネス開発(54%)、データ入力(47%)、会計業務(45%)、3Dアニメーション(44%)だった。データからは、チャットサポートなどのカスタマーサービス関連スキルも、企業からのニーズがかなり高いことがわかっている。
アウトソーシング専門コンサルタント企業アライズ・バーチャル・ソリューションズ(Arise Virtual Solutions)の最高カスタマーエクスペリエンス責任者を務めるジョナサン・シュロイヤー(Jonathan Shroyer)は、「企業はこうした業務について、『社内でやる必要はもうない』と考えている」と話す。これまでは、「企業は、すべての業務について聖域に属するものだと考えていた」
Upworkは、2022年1月1日から2022年10月31日までの期間を対象に、フリーランサーの収入を比較し、企業がフリーランサーに最も求めるスキルを特定した。最も求められるそれらのスキルはそれぞれ、同期間中、Upworkのデータベースにプロジェクトが500件以上掲載されていたものだ。
テック分野は、最も人材が不足しているにもかかわらず、最も速く人員削減が進んでいる。そのテック分野でフリーランサーに最も求められているスキルは、フルスタック開発だった。それに、フロントエンド・ソフトウェア開発とバックエンド・ソフトウェア開発が続く。
トップ5には、モバイルアプリ開発とウェブデザインも入った。また、ECサイト開発、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイン、UI(ユーザーインターフェース)デザイン、コンテンツ管理システム開発も、フリーランサーに高く求められているスキルだ。
技術が開発初期にある企業はとりわけ、フリーランサーへの依存度が高いとバックワイツは話す。「フルタイム従業員を採用するよりも、リスクがずっと低いからだ」という。「コスト効率もいい」