一方、すっかり浸透した「サステナブル」をはじめ、「ウェルビーイング」や「ESG経営」や「リスキリング」といったカタカナで表現する経済用語は、分かるようでよく分からないという方も多いのが実情ではないでしょうか。ここで重要な点として、我々、経営者やビジネスリーダーに求められるのは、表面的なトレンドやキーワードに流されることなく、本質的な意味や意図を理解し、実務に活用し、実態として生産性向上につなげることです。
今回のキーワード「オーセンティック」は、あなたの影響力を高め、実態としての生産性向上に非常に効果的なので、今回、その概念と活用方法についても解説して参ります。今年は、これまで停滞していたビジネスの再起をかけて奮闘されている経営者も多数いらっしゃいますが、この「オーセンティック」であることが、会心の一撃となるかもしれません。ぜひ楽しみにお目通しください。
「オーセンティック」とは、一体なに?
そもそも「オーセンティック(authentic)」とは、直訳すると「本物の」「正真正銘の」「真の」「信憑性がある」「確かな」といった意味。ギリシャ語のauthentesに由来し「君主」「自らの意思で物事を実行する者」から派生して「他の誰でもない自分自身」へと広がり、本物や正統派と捉えられる「オーセンティック(authentic)」という感覚が生まれました。ファッションや音楽や料理の世界でも「オーセンティックな○○」と表現されることも多々あり、これまではビジネス用語として、あまり使われることがなかった言葉です。
ところが最近では、マーケティングの分野をはじめ、実にさまざまな場面で使われるようになってきました。その結果、会社の信頼性や情報発信の影響力を高めるうえで、これからのビジネスリーダーが是非とも理解すべきキーワードとなりました。「オーセンティック」でないと見向きもされない令和5年。「今年はオーセンティックで行こう!」とご提案します。
情報過多の時代だから、本物でないと信じてもらえない!
では、なぜいま「オーセンティック」なのか?これまでのコラムで、SNSのスキル(リスキリング)が経営者に必須とお伝えしました。が、肝心のSNS上の情報が多岐に渡って発信されている時代だからこそ、何が本当か分からなくなってきたのも事実です。実際、我々は、コロナ禍やワクチン、ウクライナとロシアの問題など、さまざまな事件を含めて、フェイクニュースに振り回されてきました。情報感度の高いはずの経営者ですら「テレビや新聞はおろか、国家から発信される情報すら、なにが本当に正しいのか信頼できない」というのが本音ではないでしょうか。つまり、人は「本当の」「正真正銘の」(つまり、オーセンティックな)情報を発信してくれる人を、喉から手が出るほど欲しくて欲しくてしょうがなくなっているのです。