アカデミー賞をなぜ日本映画は取れないのか

『トップガン マーヴェリック』主演のトム・クルーズ(Photo by Christopher Jue/Getty Images For Paramount Pictures)

『トップガン マーヴェリック』主演のトム・クルーズ(Photo by Christopher Jue/Getty Images For Paramount Pictures)

今年のアカデミー賞候補作が24日、米映画芸術科学アカデミーから発表された。
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最重要部門とされる作品賞候補の10作品には、2022年公開作品で全世界興行収入1位2位の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』『トップガン マーヴェリック』や、今回最多の10部門11ノミネートされた『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、続いてノミネートの多かった『西部戦線異状なし』『イニシェリン島の精霊』などが選出された。

日本作品の候補入りは、残念ながら叶わなかった。

ここ数年の日本映画(実写作品)の受賞作は、2009年外国語映画賞受賞の『おくりびと』(監督:滝田洋二郎、脚本:小山薫堂)と、昨年の国際長編映画賞『ドライブ・マイ・カー』(監督:濱口竜介、原作:村上春樹)の2作品。
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外国語映画初として、韓国作品『パラサイト 半地下の家族』が第92回(2020年)に作品賞を受賞して大きな話題となったが、日本映画が受賞する日は来るのか、いつのことになるのか──。

競争力を失った日本

欧州で独立系映画やアート系映画が評価されることとは事情が異なり、アカデミー賞はハリウッドの主流作品に対する競争力が無ければ、簡単に受賞できるものではない。

では、なぜ日本の実写映画は国際競争力を「失っている」のだろうか?

そこには欧米基準の映画製作を教育できる組織が存在せず、映画製作者の大半がビデオ撮りテレビ番組の制作経験者であることが挙げられる。

欧米には半世紀以上の歴史を持つ大学レベルの映画学校が多く存在し、脚本、演出、撮影、編集、音響、美術、照明などの基礎を一巡学んだ後に、専門領域の理論を身に付け、制作実務をショートフィルムの実制作を介して習得して行くカリキュラムが確立されている。

南カリフォルニア大学やニューヨーク大学のようなエリート校に限らず、大学の映画学部や大学院を修了したほぼ全員が同等の映像理論や基礎的な制作手法を学んでいるので、共通の撮影・編集ルールに基づいた映画製作が可能で、作られた作品も「記号論」的視座から解析、評価されるのだ。
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文=北谷賢司 編集=宇藤智子

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