アニメは原作が漫画や劇画で、既にカット割りが出来ているものを映像化することが多い。オリジナル作品でも、完成度の高い絵コンテから動画を起こしていくものが大半である。
こうして完成した映画作品は、欧米基準の実写映像と隔たりが無く、外国人にも違和感なく受け入れられる。
『パラサイト』受賞の背景
韓国や中国は、1980年代には欧米の記号論に基づいて作品を製作しなければ、国際流通に掛けられないことに気付き、国主導で専門高等教育に力を入れた。有望な学生を選抜し、欧米や豪州の著名映画監督や制作技術者を招聘するとともに、ハリウッド周辺の南カリフォルニア大学やUCLA、AFI(アメリカン・フィルム・インスティテュート)に国費留学させ、国際基準の手法で作品を製作できる人材の教育制度を確立した。
例えば、北京電影学院は、英語教育学部も設立して海外からの留学生も迎え入れ、ジェームズ・キャメロン監督などを特別講師として招聘している。
84年に国家戦略により映画振興公社が設立した韓国映画アカデミーは、『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督をはじめ、既に500人ものハリウッド基準の現場で通用する人材を輩出している。
日本映画の海外進出支援には、クールジャパンの名のもとに巨額の公費が投じられてきたが、今こそ本腰を入れて、戦略的に、世界市場で通用する実写映画を製作できる新世代クリエーターを育成しなければならない。
産官学が共通認識を持って、日本映画の再興に動き出すことを期待したい。
連載:スポーツ・エンタメビジネス「ドクターK」の視点