米上院情報委員会の共和党トップのマルコ・ルビオ上院議員は1月11日、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO宛ての書簡で、「中国の法律では、政府が企業に個人データの提出を強制できる」と指摘し、次のように述べた。
「この提携によってバイトダンスに開示された米国人の個人データは、中国政府にも開示されることになる。JPモルガンが、バイトダンスとパートナーシップを結ぶことは、中国共産党によるデータへのアクセスを拡大させることにつながり、言語道断だ」
米中央情報局(CIA)のバーンズ長官や、連邦捜査局(FBI)のレイ長官、財務省のイエレン長官らは昨年末に、中国政府とのつながりを理由に、TikTokの安全保障上の懸念を指摘した。「この状況の中で、JPモルガンがバイトダンスと提携したという報道が最近出たとき、私が警戒したのは当然のことだ」と、ルビオ議員はフォーブスの記事を引用して述べている。
「JPモルガンが中国政府のちょうちん持ちになり、バイトダンスの使命が “クリエイティビティを高め、人生を豊かにすることだ”というような嘘を広めるのは、十分に問題だ」と、ルビオ議員は書簡で指摘し、JPモルガンの公式サイトに掲載されたバイトダンスとの取り組みにふれた。
「しかし、さらに憂慮すべきは、JPモルガンが現在、バイトダンスとの積極的な協力で、“リアルタイムのデータの交換や追跡”や “支払いの確認とモニタリング”といった、データの重大な乱用ともとれる行為を行っていることだ」とルビオ議員は続けた。
フォーブスは、12月の別の記事で、バイトダンスが同社を取材する複数のフォーブスの記者の位置情報を監視することで、内部情報を記者にリークしたバイトダンスの社員を突き止めようとしていると報じていた。ルビオ議員は、昨年末にTikTokを全米で禁止するための法案を提出したが、その際に「彼らの監視行為は、私が以前から繰り返し警告してきたことの好例だ」と述べていた。
スポーツ界にもTikTok追放の圧力
バイトダンスは、対米外国投資委員会(CFIUS)との協議を進めているが、議員たちの非難の矛先は、JPモルガン以外の企業や組織にも広がっている。スポーツ専門チャンネルのESPNは、超党派の議員からTikTokとの提携を解消するよう圧力を受けており、下院の共和党議員は今月、キャンパス内でTikTokを禁止しないテキサス州の大学に対する連邦資金を差し押さえる法案を提出した。一方、元国家安全保障局顧問のグレン・ガーステルは、バイトダンスとJPモルガンとの提携が、「表面上は問題がない」とし、「中国の金融テクノロジーの内部知識を持つ米国企業があることは有益でさえある」と述べている。しかし、それと同時に彼は、このようなパートナーシップが、国家安全保障上のリスクを抱えるSNSプラットフォームの拡大を支援する「グレーなステップ」であると、フォーブスに語っている。
ルビオ議員は今回の書簡でダイモンCEOに対し、バイトダンスとの提携がJPモルガンの口座を持つ米国人のデータのセキュリティにどのような影響を与えるのか、また、誰がそのデータにアクセスできるのかなどを質問し、2月中旬までに回答するよう求めた。
(forbes.com 原文)