ADHDの特性が強い人に、うつ症状や不安症への高いリスク

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また、自閉症の性格的な特徴よりも、ADHDの性格的な特徴のほうが、うつ症状や不安症との関連性がより強いことも浮き彫りになった。

論文は、こう述べている。「この結果は、私たちの知る限り、ADHDの特性がASDの特性よりも、『(うつ症状や不安症といった)内在化障害(internalising problems)を抱えやすいこと』をより高い確率で予測することを示した初のエビデンスだ。この新しい知見は意外に思われるかもしれないが、それは、このテーマに関する研究がどれほど不足しているのかを反映している。残念ながらこれまでは、内在化障害の研究と、臨床診療のどちらにおいても、ADHDよりASDのほうが優先されてきた。不安症に関しては、なおさらだ」

「その結果として、研究文献には大きな空白があった。今回の研究は、そうした空白を埋めようとしている」と論文は続く。「我々の知見が示唆するのは、ASDの特性の有無にかかわらず、ADHDの特性をもつ成人への対処法によっては、内在化障害を軽減できる可能性があるということだ。不安症やうつ症状の治療を目的とした臨床的介入(抗うつ剤の服用や対話療法など)を追加することもありうる」

米国疾病予防管理センター(CDC)の推定では、2016年から2019年までのあいだに、米国の子どものおよそ9.8%がADHDと診断を受けた。米国立精神衛生研究所が公開したデータによれば、世界全体の成人のADHD有病率は4.4%だ。

これまでのところ、ADHDと診断された人は、女性(3.2%)より男性(5.4%)のほうが多い。米国では、ADHDと診断を受ける成人がかなり多く、いまのところ、生涯有病率は推定で8.1%だ。

ADHDの特性が強い成人はいまだに、診断してもらうのに苦労している。神経発達問題について専門訓練を受けた精神科医や心理学者の診察を受ける機会が十分にないためだ。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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