久田は同財団について、「儲からないけど、意義がある活動を行う『非営利スタートアップのインキュベーター・アクセラレーター』と定義している。非営利スタートアップに圧倒的に不足している創業期資金を助成し、また成長のための支援をする財団だ」と話す。
久田は学生時代の2007年に、Speeeを創業し代表取締役に就任。11年に、新規事業創出に専念するため代表を交代。18年、Datachainを設立し、代表取締役CEOに就任した連続起業家だ。Speeeは20年7月、東証JASDAQ市場に上場し、営利スタートアップで築いた資産を元手に財団を設立した。
「インパクト投資をはじめ、投資と寄付の間を担う、社会課題解決のための資金インフラは増えている。他方、経済的リターンを求めない、エクイティも取らないという非営利スタートアップ向けの寄付は絶対額が限られているうえ、社会的に弱い立場の人や教育、研究など特定の領域に限られ、いわゆる『事業性資金』がまったく足りていない。非営利スタートアップは資金の出し手が構造的に不足している。この『社会課題解決の課題』の解決策として、起業家が、IPO(新規株式公開)やM&A(合併・買収)によって、営利スタートアップのエコシステム(生態系)で得た資金を非営利スタートアップの助成に向けること。事業開発のナレッジによって成長を支援していくことがある」(久田)