「非営利スタートアップ」新エコシステム構築へ 連続起業家の挑戦

一般財団法人Soil代表理事・久田哲史 写真=若原瑞昌

久田が設立した同財団が目指しているのは、「非営利スタートアップの新しいエコシステム」だ。久田は次のように話す。

「ここ十数年で急速にスタートアップ・エコシステムは醸成された。それに伴い、資金調達環境は大きく改善された。それと同じことを非営利スタートアップでもできるのではと考えている。起業家には、資金があり、事業をつくる能力があり、テクノロジーへの理解もあって、社会的インパクトを志向する感性もある。実際にすでに取り組んでいる人もいる。Soilが支援することで成功する非営利スタートアップが出て来ればSoilを通じてこのエコシステムに資金やノウハウを提供しようとする人も出てくるかもしれないし、自分で財団を作ってみようという起業家も出てくる」(久田)

「非営利スタートアップの事業性資金を増やす」というコンセプトを掲げる同財団が2023年2月にはじめたのが冒頭の「Soil1000」「Soil100」という支援プログラムだ。1000万円を上限にした「Soil1000」は優れたアイデアとチームがあるプロジェクトが対象、100万円を上限にした「Soil100」では非営利スタートアップの創業前後で、まだ実績がない人が対象だ。同財団の2つのプログラムは2月14日まで同財団のウェブサイトで募集している。審査員には、久田をはじめ、同財団理事で一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)常務理事の工藤七子、同理事でCAMPFIRE取締役Co-CEOなどを務める中島真、同評議員でリバネス代表取締役グループCEOを務める丸幸弘、元ハフポスト日本版エディターで湯気共同代表の南麻理江の5人が務める。

同財団ではすでに、デジタル・ジャーナリスト育成機構(D-JEDI)への支援をしている。

「WillとTalentがある人たちが集まって熱が生まれ、資金と知見が加われば非営利の新しいエコシステムが誕生する。営利スタートアップをシード期から育てるシード投資家に対して、非営利スタートアップを育てる土になりたいという思いでSoil(土壌)と名づけた。いつの時代も、最も重要な資源は事業をつくる人であり、人が挑戦するために資金インフラが必要だと捉えて、Soilを作った。個人的な寄付にとどまらず、モデル化して発信し、エコシステムのなかに取り込んでいくことに重きを置いている。Soilが新しいエコシステムの土壌にもなれればと思っている」

文=山本智之 写真=若原瑞昌

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