ある報告では、レモンに塩コショウをかけ、それを吸うことで咳を抑えるというバズった動画をはじめ、いくつかの治療法が紹介されている。
辛そうで、ちょっと変な感じもするが、TikTokのユーザーはこれが効果があると断言している。ほかにも、ジャガイモを足に乗せるという動画は、本当に馬鹿げている。コメントから判断すると、ほとんどのフォロワーが同意しているようだ。
中には、家の周りに玉ねぎを置くと空気中の細菌を吸い出すというような、説得力のある動画もあった。
また、鼻づまりを解消する方法として、氷を口の中に入れ、舌で押し上げるというものも気に入った。実は最近、私もそれを試してみたのだ。寒さで少し鼻が詰まっていたのだが、かえって鼻づまりが悪化したような気がした。やり方が間違っていたのだろうか。
残念ながら、HealthReporter.comの医療専門家であるロズミー・バリオス博士がいうように、これらの家庭療法のほとんどは本当に効果がないのだそうだ。私の考えでは、少なくとも、ただ黙って苦しむのではなく、症状にどのように対処するかを考えさせるという目的は達成できるかもしれないと思った。バリオス博士によれば、1つだけ挙げるとすれば、レモンを吸えば、咳を抑えるために実際にビタミンCを摂取することができるかもしれないということである。
ただバリオス博士によれば、ほとんどの場合、これらの動画は実際のどの疾患にも効かないとのこと。
「理論的には、ブロックアイスを吸うと血管が狭くなって鼻づまりが楽になるかもしれません。しかし、冷たい空気が白血球を粘膜に届かなくするので、体が細菌やウイルスと戦うのが難しくなります」と彼女は記事で述べている。「もっと良い自然家庭療法は、水分を補給するために飲み物を摂取することです。体温を保つことができ、鼻の詰まりや腫れを抑えることもできます」
そもそも、なぜ私たちはTikTokのようなソーシャルメディアアプリに医療アドバイスを求めるのか、不思議に思うようになった。
理由の1つは、アプリの即時性にあるのかもしれない。「咳」や「鼻づまり」という単語を検索すれば、いくつかの動画を見ることができる。一方、近所のクリニックに電話するとずっと待たされ、医者に会いに行くと、さらにそこで長く待たされるかもしれない。
また、信頼という錯覚もあるだろう。人気のあるソーシャルメディアアプリで動画を見たとき、私たちはまず、その主張には何らかの価値や裏づけがあるのだろうと考える。陰謀論がしばしばネット上で盛んになるのは、そのプラットフォームがこのようなコンテンツの存在を許可したのであれば、何らかの妥当性があるに違いないと考えるからだ。私たちは、物事を額面通りに受け入れるように習慣づけられているのだ。
私は、これらの動画を投稿したユーザーを批判しているわけではない。彼らは誠実に見えるし、もしかしたら何らかの付随的な利益があるのかもしれないし、治療法の効果は自分の体調次第なのかもしれない(鼻づまりを解消するためにアイスキューブのトリックを試してうまくいったら、私のTwitterフィードに投稿してほしい)。
私はそれらの動画を「何か試してみても損はない」というカテゴリーに入れることにした。靴下にジャガイモを入れるという手法は、問題を自分が把握してコントロールできているという感覚を与えてくれるかもしれない。たとえそれが完全に間違った思い込みであったとしても。
(forbes.com 原文)