2023.01.29 10:30

ワインエキスパートが「バスク州珠玉の3軒」で選んだ1本は?

驚愕のスペインのナチュール、樹齢200年のカナリアワイン

さて、シャンパーニュをグラスで楽しみつつ、ワインを検討しよう。色々なワインを試したいならワイン・ペアリングも良いけれど、筆者はこれまで5度訪れたうちペアリングは一度しか頼んだことがない。なんだか気ぜわしくなってしまうのだ。

コース料理の最後に来るお肉は確かにハイライトではあるのだが、その前まで魚介のメニューも多いため、白やオレンジワインで十分通せる。お肉に赤ワインが欲しければ、グラスで頼めばよい。

個人的に注目しているスペインのナチュール生産者エンヴィナーテのワインがあれば頼もうと思っていたのだが、赤ワインしかなかった。それならば、1つだけオンリストされているカナリア諸島の白ワインが気になる。どんな感じか尋ねると「とてつもなくビューティフォー」というので、すかさずオーダー。

これが、大当たりだった。一口飲むたびに細胞が喜ぶような生きた味わいに、魂が揺さぶられた。華やかだが前に出すぎず、硬質なミネラル感と塩気からくる凛とした透明感、しみこむような余韻。

職業柄、ふだんはワインを飲むと分析したくなる筆者だが、このワインは何も考えず、ただその美しさに浸っていたくなるワインだった。

だが、カナリア諸島の標高1400m、樹齢150~200年の古樹から取れた希少な地ブドウを使用するため、わずか1250本しか造られていない。世界のどこかで見かけたら迷わず買いだ。

驚愕したイナキ・ガリードの「ラス・トスカス」

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フレッシュチョリソーのタルタル

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薪の香りをまとわせたビーツのアイス

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世界のスター、シェフのビクトルと

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今年こそは、海外への門戸も開かれ、我慢をしていた海外旅行に行く機会も増えるに違いない。胃袋をスポイルしに、ぜひバスク地方に足を運んではいかがだろうか。



水上彩(みずかみ・あや)◎ワイン愛が高じて通信業界からワイン業界に転身。『日本ワイン紀行』ライターとして日本全国のワイナリーを取材するなど、ワイン専門誌や諸メディア等へ執筆。WOSA Japan(南アフリカワイン協会)のメディアマーケティング担当として、南アフリカワインのPRにも力を注ぐ。J.S.A認定ワインエキスパート。ワインの国際資格WSET最上位のLevel 4 Diploma取得。

取材・文・写真=水上彩 編集=石井節子

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