伝えられたところによると、FDAは新型コロナウイルスのワクチン接種について、より簡明な、季節性インフルエンザのワクチンと同様のアプローチを採用したい考え。この新たな方針は、1月26日に開かれるワクチンおよび関連生物製剤に関する諮問委員会(VRBPAC)に諮られることになる。
フォーブスが入手したFDAの発表文によると、26日に行う会議の目的は、今後に向け、「初回接種用のワクチンの設計を変更する必要性の有無と変更内容の詳細」について、「追加接種用ワクチンの設計と接種スケジュール」について協議することだ。
毎秋の接種を推奨
検討中の方針の下では、「初回接種(数週間の間隔をあけて2回)の後、2カ月後に2価ワクチンを接種し、より感染力の強い変異株への防御力を高める」という現行のプロセスが廃止される。そして、その年の後半に最も流行していることが予想される株に対応するよう設計したワクチンを毎年春に開発し、秋に接種を推奨する。ただ、米疾病対策センター(CDC)のデータによると、米国ではおよそ70%の人が初回接種を受けている一方、2価ワクチンによる追加接種を受けた人の割合は、15.3%にとどまっている。新たな戦略が追加接種を促すことにつながるのか、あるいは流行中の株への感染拡大を抑制することに役立つのかは不透明だ。
感染した場合の重症化の危険性は、2価ワクチンの接種によって低下することが報告されている。それにもかかわらず、接種率は伸び悩んでいる。これは、年1回の接種を勧める新たな方針によって、接種を受ける人が大幅に減る可能性があることを示唆している。
さらに、追加接種用のワクチンの有効性についても、疑問が持たれる。設計されてから流行が始まる秋以降までの間隔が長く、免疫を回避する力を強めた新たな変異株がその間に出現すれば、接種の効果がなくなると考えられるためだ。
流行の予測は困難
新型コロナウイルスの感染状況を追跡しているCDCのデータが明示するのは、新たに出現する変異株やその派生型に対応するワクチンの開発をいかに実現していくのかという問題があることだ。昨年11月の最終週には、全米で最も流行しているのはオミクロン株の派生型「BA.5」だった(感染者の約66%を占めていた)。だが、現時点では、この時期には感染者がゼロだった派生型「XBB.1.5」の感染者が、全体の半数近くにのぼっている。同時に、「BA.5」の感染者は全体のわずか2%に減少している。
(forbes.com 原文)