「Abuild就活は自走する人財を世の中に輩出するサービスで、その広がりが世の中のためになる。だからこそもっと多くの学生に知ってもらいたい」
NINJAPAN株式会社でマーケティング戦略を担当する、マーケティング部部長の神川恵樹とマーケターの須永櫻子はこの使命感のもと、日々業務に取り組んでいる。
学生向けの就活支援サービスであるAbuild就活の拡大のために、2人はどんな思考で新規顧客獲得のための訴求を行っているのか。
「マーケティングは数字が見えるからこそ、やりがいがありワクワクできる」とも語る2人の話から、同社のマーケティング戦略、そして今後の発展を見据える未来像に迫る。
数秒で就活生の心を奪うキャッチコピーを創造
マーケティングの中にカスタマージャーニーという概念がある。ユーザーが購買決定するまでの過程を切り分け、工程ごとに施策を考えていくものである。例えば、サービスを利用するユーザーの行動として、認知→興味関心→検討→行動→拡散、というような工程があると考える。
サービス立ち上げ当初、神川はまず最初にサービスを検討し、購買をする可能性が高い層をターゲティングしたと話す。
「就活において有料サービスを利用したくないという方はまだたくさんいらっしゃいます。一方で自分の将来のために成長できるなら投資もいとわないという方もいらっしゃいます。私たちのサービスを拡大するためには、まずは利用してもらえる人を獲得する必要がありました。そのため、購買を検討しやすいと考えられる層に絞って広告を出稿していました」(神川)
現在、同社が力を入れているのがデジタル広告。WEBの検索エンジンにヒットするリスティング広告、さらにはInstagram広告やYouTube広告といったSNS広告だ。神川と須永が中心となり戦略、企画、制作、運用など広告に関わる全ての過程を社内で行っている。

「ターゲットを市場の状況や事業の段階に合わせて適切に設定し、想定したターゲットが多いとされる媒体を選んだり、行動してもらえるような言葉を考えたりすることが私たちの仕事です。広告を制作する際は、誰に、何を、どのように向けたものなのかを深く考え、仮説を立てて何度も検証します。そしてどんな広告が本当に心に刺さるものなのかを精査していきます」(須永)
特に頭を悩ますのがキャッチコピー。就活の中で学生が抱えている悩みに寄り添い、背中を押すキラーフレーズでなければならない。
「一つの広告に対して、10~20のアイデアを出しています。これまででユーザーの反応として興味深かったのが『また逃げるの?』というキャッチコピー。大学受験など、これまで妥協してきた自分に別れを告げて、今こそ頑張ろうというメッセージがうまく伝わった事例です」(須永)
一方でビジュアルデザインは、最初はあまり凝り過ぎないように心掛けている。
「出稿した広告に対しては必ず検証をします。デザインが凝った広告は、単にビジュアルだけが目を引いてアクセス数が伸びたというケースも考えられ、きちんとした分析をできないことがあります。そのため、あえてシンプルにして、ターゲット層が今抱えている悩みや課題に訴求できたのかを見極めることを大切にしています」(神川)
デジタル広告の多くは、ユーザーからものの数秒で必要か不必要かを判断されてしまう。いかに短いフレーズで就活生の心を動かせるか。神川と須永のワードセンスにかかっているのだ。
マーケターたちの功績が、Abuild就活の認知度を高める
サービスを開始してからまだ2年半だが、Abuild就活の認知度は着実に高まっている。同社が大学生を対象に就活対策サービスに関する認知度調査を実施したところ、純粋想起は約2%、助成想起は約8%の学生がAbuild就活を知っていると答えた。
そして業界内でも今や一目置かれる存在に。地下鉄の駅構内に出広したポスターが、競合他社にほとんど同じデザインで模倣されるという出来事があった。
「後発である我々をそこまで意識してもらえたことは、かえって光栄なことでもあります」(神川)
認知度をより一層上げるためのマーケティング戦略も怠っていない。新たな試みとして、大学のキャリアセンターを対象にセミナーを開催した。
「就活対策はもちろん、学生たちが社会に出る前にどのようなアドバイスをすればよいのかを、悩んでいるキャリアセンターの方が多くいらっしゃいました。Abuild就活は就活対策だけなく、社会人としてのスキルを身に付けることを目的にしたプログラムであるところを認知・共感していただけたと思います」(須永)
「昨今、就活市場はめまぐるしいスピードで変動しています。就活対策のプロである我々でさえ追いつくのに苦労している状況なので、キャリアセンターに情報が届くのはさらに遅くなっていると思います。学生に最新の情報を届けるのが我々の使命なので、各所と連携することで相乗効果が生まれることも期待しています」(神川)
社員全員が共有するマーケティング思考
マーケティング担当の役割は、広告を通じて不特定多数のユーザーにAbuild就活の魅力や強みを伝えることだが、広告を目にして受講を決めた学生に対しては、その後カウンセラー、コーチ、サクセスサポート担当者が寄り添っていく。「他の部署に比べると受講生との交流は少ないですが、卒業の際にはインタビューをすることがあります。Abuild就活に出合って、自分はこんなに変われましたと感動を伝えてくれる受講生が多く、その瞬間に立ち会えた時にやりがいを感じます」(神川)
そして「社内にも感動を共有できる仲間がいることが心強い」と須永は付け加える。
NINJAPANが掲げるバリューは「誰かのために、働こう。楽しむために、結果を出そう。信じるために、考え抜こう。挑戦しよう、新しい景色を視るために」。この価値を実現するために社内では月に1回以上勉強会を開くなどして、社員全員の意志統一を図っている。
「共通認識として持っているのは、カスタマーファーストのマーケティング思考です。社内で何か論点がずれた時にまず考えるのが、お客様のためになっているのかどうか。さらに社員一人一人が思い描くお客様像をすり合わせることで、サービスの向上につなげています。定期的に社内全体で勉強会を行い、マーケティング思考の育成や、マナー講座やセールストークなど、ビジネスパーソンとして各々がレベルを上げるために必要なことに取り組んでいます」(神川)
就活対策市場のマーケットリーダーへ
NINJAPANのメンバーに共通しているのは、お互いをリスペクトしていること。そしてそれぞれがAbuild事業に誇りと使命感を持ち、目標達成に向かって突き進んでいる。では、さらなる成長を目指す同社で活躍できる人材とは。
「マーケターとしては、数字に対する扱いが得意で、そこからヒントを見出し、数字だけでは測れないところまでを仮説・検証できること。そしてゴールから逆算して考える思考で、決めたことをやり抜く覚悟がある人財です」(神川)
「在籍している社員は全員、楽しいことがしたいという探求心と、負けず嫌いだけど他人のことをリスペクトできる心を持ち合わせています。さらに自分の強みと弱みをしっかり分析し、受け入れている者ばかりです。同じ思考の方はカルチャーフィットでき、自分の理想を実現できる場所だと思います」(須永)
最後に取締役でもある神川に、Abuild事業の未来像について聞いた。
「Abuild就活は、単なる就活対策だけではなく、その先のキャリア構築を見据えたサービスです。まずは、新卒向けの就活対策市場でマーケットリーダーになることが目標です。Abuild就活を通して、将来のキャリアについて深く考えられる学生をもっと増やしていきたい。ゆくゆくは、大学との連携や『就活力偏差値』のような自分の就活レベルがわかる模試のようなものを作っていきたいです」(神川)
「就活力偏差値」は、まさに数字の分析を得意とするマーケターならではの発想だ。一般的な就活塾とは一線を画するサービスを展開しながらも、就活対策市場の覇権を虎視眈々と狙うNINJAPAN。彼らの飽くなき挑戦はまだまだ続いていく。