2023.01.24 12:05

米国で「スプラッシュ・マウンテン」終了、ファンが別れ惜しむ

2022年6月1日、ウォルト・ディズニー・ワールドにて、スプラッシュマウンテンで冷たい水を浴びるゲストの反応。(Photo by Joseph Prezioso/Anadolu Agency via Getty Images)

2022年6月1日、ウォルト・ディズニー・ワールドにて、スプラッシュマウンテンで冷たい水を浴びるゲストの反応。(Photo by Joseph Prezioso/Anadolu Agency via Getty Images)

米ディズニーは先月、フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド内のアトラクション「スプラッシュ・マウンテン」を2023年1月に閉鎖すると発表した。同社は、今から約3年前にこの乗り物の人種に関する描写が差別的であるとの批判を受けて、閉鎖を決めていた。

最終日となった22日には、多くのファンが最後の乗車を楽しむために来場し、現地メディアのオーランド・センチネル紙によると日中の待ち時間は最大220分にも達した。閉園時間の午後11時時点の待ち時間は3時間近くに及んでいたとされる。

ディズニーのキャストたちを乗せた最後の回が出発したのは翌23日の未明のことで、彼らは観客の拍手を浴びて送り出されたという。

ディズニーが最初にスプラッシュ・マウンテンを閉鎖すると発表したのは2020年6月のことだった。当時は、その前月に発生したジョージ・フロイド殺害事件を受けて人種差別に反対する抗議運動が拡大し、この乗り物が黒人の歴史に誤解を生むとの指摘があがる映画「南部の唄」をモデルに建設されたことが批判を浴びていた。

同社は、そのタイミングで、アトラクションのテーマを映画「プリンセスとカエル」に変更し、2024年に再オープンする予定だと発表した。新たなアトラクションでは、ティアナ姫と相棒のルイがマルディグラの祭典の準備をする様子が描かれる予定という。

一方、カリフォルニア州アナハイムのディズニーランド・パークにあるスプラッシュ・マウンテンがいつ閉鎖されるのかは、まだ発表されていない。

1989年にディズニーランドで、1992年にウォルト・ディズニー・ワールドでオープンしたスプラッシュ・マウンテンは、ディズニーで最も人気の乗り物の一つとして知られている。

2万1000人以上の署名

この乗り物の閉鎖は、オンライン署名サイトのChange.orgに2万1000人以上の署名が寄せられた後に決定された。スプラッシュ・マウンテンは、1946年に公開された実写およびアニメーション映画「南部の唄」を題材にしたアトラクションだが、多くのディズニーファンは、この映画が南北戦争後の人種の問題をテーマにしたもので、黒人の歴史に誤解を生むとの批判を浴びていることを知らずにいた。

映画「南部の唄」は、1956年、1972年、1980年、1986年に再公開されたものの、米国ではビデオ版が家庭向けに流通したことはなく、ストリーミングサービスの「Disney+」でも配信されていない。公開当時はアカデミー賞も受賞したこの映画は、南北戦争前の人種差別的な歌が元になったとされる「ジップ・ア・ディー・ドゥー・ダー(Zip-a-dee-doo-dah)」という曲でも知られている。

2020年にディズニーは、スプラッシュ・マウンテンのライドからこの曲を削除していた。

「この乗り物は、人々に愛される古くからの定番だが、その歴史とストーリーは、1946年の映画を基にしたきわめて問題の多い、ステレオタイプな人種差別的な考え方に染まっている」と、Change.orgに寄せられた嘆願書の一部には書かれていた。

forbes.com 原文

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