宇宙

2023.01.31 14:00

天の川銀河で最も遠い星はアンドロメダまでの半分の距離に存在

Getty Images

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アンドロメダ銀河を見たことがあるだろうか? 今、日が暮れてから外へ出て北東の空を見上げると、W字型のカシオペア座が見つかるだろう。2つ目のV字を矢印だとする。その先にあるぼんやりとした斑点が、おそらく暗い空の下で双眼鏡を使えばそれらしく見えるだろう。とても大きくとても近い銀河だ。
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M31とも呼ばれる天の川の隣の巨大な銀河、わずか250万光年の距離にあるアンドロメダは、少なくとも1兆個の星が存在している。天の川銀河と同じ渦巻銀河だが、2つの巨大銀河を隔てる距離は、以前考えられていたほど遠くないかもしれない。

先にシアトルで行われた米国天文学会で発表された最新研究は、天の川銀河のハローで古い星を約200個発見し、その中で最も遠いものは地球から100万光年以上離れていることを報告した。それはアンドロメダまでのおよそ半分の距離だ。


天の川銀河の内側および外側のハロー。ハローとは銀河を囲んでいる円形の星の雲だ。天文学者らは、天の川銀河のハローが2つの星団からなっていると考えている(NASA, ESA, AND A. FEILD(STSCI))
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では、2つの銀河はどこで終わり、あるいは出会うのだろうか。「この研究は、私たちの銀河の外縁を再定義するものです」とカリフォルニア大学サンタクルーズ校天文学および宇宙物理学教授のラジャ・グハ・タクータはいう。「天の川とアンドロメダはどちら非常に大きく、2つの銀河の間に空間はほとんどありません」

「RR Lyrae(こと座RR型変光星)」とは何か? まずこれを考える。どの星も同じ明るさで輝いているわけではない。つまり、星が明るく見えるのは、星自身が非常に明るいか、あるいは非常に近くにあるかどちらかだ。それは宇宙の中で距離を知ろうとする天文学者たちにとっての難解な問題だ。しかし「こと座RR型」の星は、一定の方法で脈動しているため、天文学者は星を特定してそれがどれほど遠いかを計算することができる。

問題になっている星々は「こと座RR型」星として知られている。変光星の一種で、きわめて予測どおりに瞬くことから「standard candles(標準光源)」と呼ばれている。天文学者はこの仕組みを使うことで、星の明るさだけから正確に銀河距離を測定できる。

こと座RR型の星は古く、その非常に特異な物理特性のために定期的な周期で拡大と縮小を繰り返している。100億歳以上の古い星の種族に属しているものが多い。

「それらの明るさの変わり方は……まるで銀河の脈拍のようで、明るくなるのは早く、暗くなるのはゆっくりです。そして周期は正確に反復し、形状は非常に特徴的です」とグハ・タクータはいう。「さらに、それらの平均輝度を測ると、どの星も同じなのです。この組み合わせはこの銀河の構造を研究する上で実にすばらしいことです」

本研究の発見によって、私たちの天の川銀河が思っていたよりもはるかに大きいことが確認された。銀河円盤の大きさは直径およそ10万光年だが、ハロー(銀河の一番古い星々が含まれている)は、あらゆる方向に何十万光年も伸びている。おそらく100万光年にはなるだろう。

「銀河ハローは最も研究が難しい部分で、それは外縁がはるか彼方にあるからです」とグハ・タクータはいう。「そこにある星々は、恒星密度の高い円盤やバルジ部分と較べて非常にまばらですが、ハローはダークマターが支配しているため、実は銀河の質量の大部分を占めています」

この最新研究は、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(CFHT)をして天の川銀河のはるか彼方の銀河団を研究するNext Generation Virgo Cluster Survey(NGVS、次世代乙女座銀河団調査)のデータに基づいて行われた。

澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。

forbes.com 原文

翻訳=髙橋信夫

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