「パンデミックや世界的な健康危機への備えができている」と答えたCEOは半分に満たず(49%)、「サイバーセキュリティ危機への備えができている」とした回答者は41%、「金融不安への備えができている」とした回答者は39%にすぎなかった。
これは、民間調査機関カンファレンスボード(The Conference Board:全米産業審議会)が実施した調査「C-Suite Outlook 2023」が2023年1月12日に公開した調査結果だ。同調査では、世界各地の企業のCEO670人に対し、15の危機的状況に対して自社がどれだけ準備できていると感じるかを質問した。上記以外の危機の発端と、それぞれに対して準備ができているという回答の割合は以下の通りだ。
・景気後退(36%)
・インフレの激化(31%)
・エネルギー価格の高騰(31%)
・サプライチェーンの断絶(28%)
・ウクライナ戦争の拡大(17%)
・異常気象(16%)
・水不足(15%)
・食糧不足(14%)
・民衆暴動(13%)
・テロ(12%)
ただし、企業や組織に危機をもたらしうる社会的・環境的トリガーは何百とある。このリストは、その氷山の一角でしかない。
「暫定的な声明文」の利点
PR・マーケティング会社インパクト・コミュニケーションズ(Impact Communications)でバイスプレジデントを務めるジョニー・スイフト(Jonny Swift)は、取材に対してEメールで、CEOは危機的状況になる前に暫定的な声明文を用意しておくべきだと述べた。「(即座に)対応したりコメントを出したりできないような状況や、コメントを用意するまでに時間稼ぎが必要な状況など、さまざまなシナリオに備える」べきというのだ。スイフトによれば、暫定的な声明文の文面は、次のようなものが考えられる。
・「現在、この問題に関する情報収集を進めている段階であり、正式なコメントが用意でき次第、改めて発表する」
・「法的制約および/または機密保持契約のため、現段階ではこれ以上コメントできない」
・「この問題について話し合いたいのはやまやまだが、守秘義務および/または法的制約のため、現時点ではそうすることができない。今言えることとしては……(自分が強調したい、あるいは彼らに注目してほしい点に誘導する/状況が変わり次第発表すると言う、など)」
暫定的な声明文を事前に用意しておくことで、「包括的かつ的確で思慮深い対応を実現できると同時に、危機に対処し事態の沈静化を図る際のストレスや問題を減らすことができる」と、スイフトは言う。