「京都信用金庫さんとは、洋服の回収をやろうという話を以前からしていたんです。京都でソーシャルなことを考えている企業は、大体顔見知り。これは、小さすぎず大きすぎない街の規模感が関係しているでしょうね」
「京都議定書が採択され、京都市が脱炭素に向けて本腰で活動していることはもちろん、京都信用金庫さんがソーシャル企業の認証制度をつくっていたり、京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)のフェローが企業の伴走をしてくれたりと、共創しやすい環境も整っています。同じ想いを持った企業どうしをつなごうとしている人たちも多いですね」
企業がサステナビリティやリジェネラティブの価値観を持っていないと、競争優位性を確立できなくなってきている現在。その中で、地域社会とこれからの企業の持続可能性は、密接に関わり始めているという。地域の中でコミュニケーションが取れないと“未来がない”と考える企業も多いそうだ。
学生が中心となったイベント設計
循環フェスのキャッチーなロゴは、京都を拠点に活動するグラフィックデザイナー三重野龍(みえの・りゅう)氏が手掛けた。この循環フェスは、地域の学生が中心となって運営していることも特徴のひとつだ。それは、従来のイベントに対して岩崎氏が感じた課題が出発点となっている。
「循環フェスは若者をターゲットにして、一人の100歩より100人の一歩につながる、ライトで裾野が広がりやすいイベントにしようと考えました。意識が高い層に向けた環境イベントは既にたくさんあったのと、そういったイベントにはいつも同じプレイヤーが来ていて、近寄り難い“身内感”を感じていたことが理由です」
そこでまず、サステナビリティファッションのイベントで出会った大学生に循環フェスの話を持ちかけた。さらに大学にプロモーションをかけ、ゼミ開催の機会を得る。そのゼミがきっかけで学生メンバーが集まってきた。その後1〜2カ月で、学生の中で「循環フェスが面白そう」という噂が広がって、結果的にたくさんの学生が集まってきた。
イベントでは、有識者を交えたトークイベントも学生が中心となって進行した。
現在、運営に関わる学生は15名。中心メンバーにやりたいことを持ち込んでもらい、大人はそれを形にする手助けをするくらいのスタンスでいるという。
「同じことをやったとしても大人と学生だったら学生の方が“バズる”んです。なので、学生だからこその強みを活かして活躍して欲しいと伝えています。その代わり、お金まわりや企業とのネゴシエーションなど大人ができることは大人がやって、良いコラボレーションを目指しています」