雪にはさらさらな乾いた雪から、積もって硬く押し潰された雪、氷粒を含むざらめ雪などさまざまあり、それぞれに重さが違います。またこうした雪質は、時間とともに変化します。たとえば、新雪は1立方メートルあたり50〜150キログラムなのに対して、積もって押し潰された雪は150〜500キログラム、ざらめ雪は300〜500キログラムと大きな開きがあります。なので、積雪量だけでは屋根にかかる荷重はわかりません。
防災科研が運用している「雪おろシグナル」では、北海道と本州の雪が多く積もる地域を対象に、各地観測地点の積雪重量が確認できます。また、地域と最後に雪下ろしを行った日を入力して現在の積雪荷重を計算することもできます。マップ上では積雪重量が色分けされていて、重量の段階ごとに家に対する危険度がわかる対応表があり、雪下ろしをすべきかどうかを簡単に判断できます。
このサービスは、雪が積もりはじめてから現在までの気象データから、大気と雪表面の熱の交換、積雪内部の変化を計算し、雪質、温度、密度、粒形、含水率といった細かい層構造の情報を提供する積雪変質システム「SNOWPACL」が利用されています。そもそも雪崩の発生予測のためのシステムですが、「雪おろシグナル」の積雪重量の見積もりに応用しています。誤差は10パーセント前後とのことです。また、新潟大学が開発した「準リアルタイム積雪分布監視システム」も使われています。
毎年、100人ほどの方が雪氷災害で亡くなっていると言われていますが、その約半数は屋根などの除雪中の事故によるものです。過疎と高齢化が進む地域では、雪下ろしができずに雪の重みで倒壊する空き家も増えているとか。そうした事故を防ぐために、効率的な雪下ろしができるようにと「雪おろシグナル」は開発されました。2018年1月に新潟県でサービスを開始すると、1日に6000件以上のページビューを記録するなどアクセスが集中しました。その後、徐々に対応範囲を広げてきました。
今年も大雪が警戒されています。雪国にお住まいのみなさんは、この「雪おろシグナル」をうまく活用して、くれぐれも安全に作業を行ってください。