本日発売の『Forbes JAPAN』3月号の表紙を飾るのは、いまや“世界で最も有名な日本人”となった近藤麻理恵と、彼女のプロデューサーとして事業の成長を牽引してきた夫の川原卓巳。
2人は本誌のインタビューで、「地球の未来を変える事業」として世界的VCから期待を寄せられたビジネスの裏側を、初めて明かした。その一部を紹介しよう。
日本一から世界一へ。その過程を体感した者にしか見えない景色がある。
近藤麻理恵と、夫の川原卓巳は、その景色を目にした数少ない日本人だ。2人を新たな境地に向かわせたのは、米国で出会ったVC(ベンチャーキャピタル)、セコイア・キャピタルだった。アップルやグーグルを無名時代から支えた世界最強のキングメーカーとともに築いた、異次元の戦略とは─。
持ち物一つひとつを手に取り、「ときめくもの」だけを残す。それによって大切なものを見極める感覚が研ぎ澄まされ、キャリアや人間関係など人生におけるすべての選択に変革をもたらす。そう説いた近藤の著書『人生がときめく片づけの魔法』は、世界40カ国以上で出版され、累計1400万部のベストセラーを記録。
Netflixで制作したドキュメンタリー番組「KonMari〜人生がときめく片づけの魔法〜(Tidying Up with Marie Kondo)」では、近藤が米国各地の家庭を訪れ、片づけによって彼らの人生を激変させる様子が190の国と地域で配信された。
2021年には新シリーズも始まり、昨年、同番組は「テレビ界のアカデミー賞」といわれるエミー賞(デイタイム部門)を受賞。まさに世界規模の活躍だ。
2019年1月に世界190の国と地域で配信が始まった「KonMari人生がときめく片づけの魔法」。依頼人の片づけの悩みを独自のメソッドで解決するリアリティー番組で、配信が始まるや大きな反響を呼んだ。Netflixで独占配信中。
その端緒は2010年、片づけコンサルタントとして活動していた近藤が、最初の著書『人生がときめく片づけの魔法』を日本で刊行したことにある。
「このとき私は、この本を絶対にミリオンセラーにするという目標を掲げていました。単なるお片づけテクニックでは、一部の限られた読者にしか届けることができない。『ときめく』という言葉を使い、精神性や人生観を意識する本にしたのも、より多くの人にメソッドを届けるためです」(近藤)
この戦略が功を奏し、同書はたちまち150万部を突破。しかし近藤はこの成功に慢心しない。次に掲げたのは、1000万部という途方もない数字だった。