AI

2023.01.24 08:00

オープンAIの「限界」を突破するイスラエル企業AI21 Labsの挑戦

「推論」を追加する

ディープラーニングベースのNLPシステムに推論を追加することで、ユーザーの意図を的確に推測し、正しい情報源に直接アクセスして正確な答えを提供する確率が高まる。現在主流の大規模言語モデルは訓練されたデータを上回ることができないとされているが、AI21 Labsは推論を追加することで、こうした制約をクリアしている。

従来のシステムは、データが時代遅れになり、時事問題や現在の天気に関する質問に全く不正確な答えを出してしまうことがあった。これに対し、AI21 Labsのシステムは、言語モデルをオンライン計算機や通貨換算ツール、常時更新されるウィキデータ、与えられたアウトプットに関連した情報を含む外部の公共及び独自のデータベースなどに接続している。

同社はまた、「AI21 Studio」を通じて同社の大規模言語モデルへのAPIアクセスを開発者に提供し、NLPをサービスとして提供している。

これにより、開発者は仮想アシスタントやチャットボットなどのテキストベースのアプリケーションを開発できることに加え、AIベースのライターやリーダーの組み込み、非構造化テキストの分析やコンテンツ作成関連の反復作業の自動化を図ることができる。

現状の主要な大規模言語モデルや、ChatGPTをはじめとする派生モデルの限界はよく知られており、開発者もそれを認めている。2023年にこれらのモデルは改良が進み、我々がその性能に驚かされることは間違いない。AI21 Labsは、「精度が高い方が良い」というアプローチによって、信頼できる実用的なAIの開発競争において、ややリードしていると言える。

「画像やテキストの生成は、完成度を高めるにはまだまだ時間を要する。技術の状況やその限界を認識することが重要だ」と、ショハムは最近のインタビューで述べている。「最初はごく一般的なものでも満足してもらえるが、これらの経験を経ると正確さが求められるようになる。例えば、顧客にメールを書く場合に、ミスは許されない。今後、ツールはより精緻になっていくだろう」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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