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2023.01.24 08:00

オープンAIの「限界」を突破するイスラエル企業AI21 Labsの挑戦

Getty Images

テルアビブに本拠を置く「AI21 Labs」は1月17日、ジェネレーティブAIを用いた文章作成支援ツール「Wordtune Spices」をリリースした。ユーザーは、12種類のキューから選択することで、文章を補強するテキストを生成することができる。このツールは、統計に基づいた論拠の補強や、細部をより明確にする提案が可能だという。

AI21によると、Wordtune Spicesのツールは、文章の主旨を洗練させてより豊かにしたり、論拠を補強するほか、ジョークや心を動かす名言の引用といった創造的な表現を加えることができる。

オープンAI(OpenAI)の「ChatGPT」などの大規模言語モデル(LLM)に基づくアプリケーションが抱える問題の1つは、引用したコンテンツのクレジット表記をしないことだ。これに対し、AI21 Labsは出典元へのリンクをユーザーに提供することで、この問題を解決したという。

AI21 Labs の共同創業者兼共同CEOであるオリ·ゴシェン(Ori Goshen)は、声明の中で次のように述べている。「我々のミッションは、AIを使って人々が読み書きをする方法を変えることだ。我々が目指すのは書き手を支援することであり、彼らに取って代わったり、排除することではない。Wordtune Spicesは、文章を改善し、より効率的で説得力のあるものにするためのインスピレーションを提供すると同時に、書き手が自身の考えや洞察、情報を自由に表現することを保証する」

ゴシェンは、かつてクラウドファンディングの「CrowdX」を設立した連続起業家だ。彼は、モービルアイ(Mobileye)の共同創業のアムノン・シャシュアと、スタンフォード大学名誉教授のヨアブ・ショハムらと共に5年前にAI21 Labsを設立した。

同社がオープンAIなどのジェネレーティブAI企業と異なるのは、精度にこだわっていることだ。他社が「大きければ大きいほど良い(bigger is better )」というアプローチを取り、言語モデルがどんどん大規模化しているのとは対照的に、AI21 Labsは「精度が高い方が良い(accurate is better)」というアプローチにこだわっている。

AI21 Labsは、自社開発した「Jurasic-1」を様々な自然言語処理(NLP)を行うための基盤モデルに過ぎないと考えており、コンポーネントを追加することで「大きければ大きいほど良い」というアプローチの限界を克服し、パフォーマンスの向上を図りたいと考えている。

最も重要な追加コンポーネントは、初期にこの分野で支配的だった記号推論や知識表現といった“オールドファッションなAI”のアプローチを追加するものだ。AI21 Labsのシステムは、ディープラーニングと人間の知性によって発明されたルールを組み合わせている。

ショハムは、ヤング·ソーン(Young Sohn)とのインタビューの中で、「大規模言語モデルは素晴らしい統計マシーンだが、何も理解していない」と述べている。彼によると、データの規模は重要だが必要条件に過ぎず、十分条件ではないという。「規模は重要だが、言語モデルに同じ単語の異なる意味に関する知識を追加するなど、NLPシステムに推論を組み込まなければならない」とソーンは言う。
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編集=上田裕資

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