悪天候時のハザードランプを点滅させた運転で起こってしまうこと

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先に、激しい暴風雨がジョージア州を襲った。豪雨の中を仕事から帰る途中、多くのクルマがハザードランプ(非常点滅表示灯)を点滅させながら走っているのを見た。私は、多くの交通専門家がこの行為に反対していることをSNSに書いた。投稿はさまざまな意見を呼び、中には専門家の意見に真っ向から反対するものもあったので、私はこれを少し深掘りして「真実」を見つけることにした。

運転中にハザードランプを点滅させることは、多くの専門家が推奨していないばかりか、一部の米国の州では違法だ。ジョン・バークハウザーはこの慣習に反対している自動車修理のスペシャリストの1人だ。2021年のReader’s Digestの記事で同氏は記者に対して「悪天候の中ではそもそも他のクルマから非常に見えにくいのに、(ハザードランプのために)ウインカー(方向指示器)が機能しなければ、あなたがどこへ行くのかさえわからないことを認識すべきです」と述べている。以下のツイートで州内のシャーロット地域の気象学者ブラッド・パノヴィッチは詳しく説明している。



事実、ハザードランプをつけなくてはならないほどの雨や悪天候のときは、運転を続けるには状態が悪すぎるとドライバーは判断すべきであると多くの専門家はいう。American Automobile Association(AAA、米国自動車協会)はドライバーの安全情報の信頼ある情報源だ。同協会もその行為を推奨していない。さらにAAAは、多くの州でその行為が違法であることも指摘している。Motorbiscuit.comは、ハザードランプを点滅させながら運転すると違法になる州を紹介した優れた記事を公開している。仮に合法だとしても、多くの警察や安全の専門家は、雨の中でハザードランプを点滅させるのはよい考えではないと警告している。

2016年、ジョンズ・クリーク警察署は同署のFacebookページで次のように書いている。「走行中のハザードランプ使用が違法である州はいくつかありますが、ジョージア州では違います。『これはハザードランプを使うべきだという意味ではありません』」ページには以下の理由が書かれている。

・ハザードランプは視認性を低下させ、他のドライバーを困惑させます。あなたのクルマが故障したか停車していると思うかもしれません
・ブレーキを踏んでいるかどうかを見極めるのが困難になります
・方向指示器が機能しなくなります

警察署は最後に、ハザードランプは助けが必要であることを示す合図であることを念押しした。

調査は限定的ではあるが、ハザードランプの点滅が、運転者の認知や運転能力に影響を与えるという研究結果は複数ある。1994年にPerceptual and Motor Skillsに掲載された研究は、視界不良の状況下の運転能力を比較した。2010年のマレーシアの運転者に関する研究も、ハザードランプを点滅させながら運転することに警鐘を鳴らしている。ただし、私のSNS界隈の非常に賢明な人々の中に、これを受け入れない人がいるので、さらに深い分析が必要なのは間違いない。現時点で私は、自分の記事にもしばしば出てくる助言を受け入れ、この件に関する専門家を信じるつもりだ。


2022年3月20日、ワシントンDCのペンシルベニア通りの車の流れ。背景に米国国会議事堂が見える(Getty Images)

forbes.com 原文

翻訳=髙橋信夫

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