太陽で突然「Xクラス」のフレア発生、その理由と地球への影響

NASAの太陽観測衛星(SDO)が捉えた太陽フレアの画像。画面左の明るい閃光となって見えている。2023年1月9日撮影(NASA/SDO)

太陽が目を覚ました。2023年の始まりとともに、太陽は活動的になり、表面全体に太陽黒点が広がり、記録史上最大級になる可能性のある周期に向けて増大するところを観測者らは目にしている。

その結果、発生した「Xクラス」の太陽フレアは、地球の磁場に影響を与え、人工衛星や通信機器を損傷する可能性があるほか、電力網が過負荷になる恐れもある。太陽フレアは軌道を周回している宇宙飛行士にとっても脅威だ。

地球から1億5000万キロメートル離れた水素とヘリウムガスからなるボールでる太陽には約11年の太陽周期がある。その間にソーラーミニマム(活動極小期)からソーラーマキシマム(活動極大期)へと変化する。後者である現在の第25太陽活動周期のピークは2024年あるいは2025年に起きると予測されており、2022年は太陽のここ約10年間で理論上最も強力な期間となる。

その証拠は、あらゆる場所で「宇宙天気」現象が突然増加していることで示されている。先日、これまでより多くの黒点が現れた後、太陽は考えうる最強タイプの太陽フレアであるXフレアを3回発生した。それはここ数年で最も活動が活発だった2022年12月の日々に続くものだった。1月5日、9日、および10日それぞれに、X1クラスの太陽フレアが黒点から発生し、X線パルスおよび極紫外線放射を光速で太陽系に送り出し、その一部は地球に向けられた。


NASAの太陽観測衛星が極紫外線で撮影した太陽の活動領域(NASA via Getty Images)

それ以来、強度の低いMクラス太陽フレアがいくつか発生しており、今後、Xクラス太陽フレアがさらに発生する可能性もある。

太陽フレア(発生から数分後に地球で電波障害を起こさせることがある)は、太陽大気中に蓄えられた電磁放射線の噴出だ。磁場のねじれによって黒点上で起きることが多い。黒点とは太陽表面の低温で暗い領域で、磁場の一群が太陽の奥深くから湧き上がることで形成される。
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翻訳=髙橋信夫

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