“コンシューマから離れた”ように見えるが……
ソニーグループのCES展示は、現在の吉田憲一郎氏の時代になって大きく変化してきた。それ以前からスマートフォンによるイノベーションにより、ソニーの主力製品だった家電デバイスの数は激減していたが、吉田氏の時代ではクリエイターに寄り添い、創作活動をサポートする技術を訴求する方向に大きく舵を取っていた。今年はテレビやオーディオ機器、スマートフォンといった端末の展示もなく、そもそも発表イベントでの言及もない。
単なるソニー製品ユーザーからすれば、コンシューマエレクトロニクスの世界から離れているように思えるかもしれない。しかし大きな技術変革が起きていない映像や音響のデータ形式、流通経路などに比べ、仮想空間を扱う世界はまだ進化の余地が大きく残されている。
現在は“仮想空間”、“メタバース”と言われても、あまりピンと来ない読者が多いだろう。しかしいずれはコンシューマレベルに近づいてくる。コンシューマから離れているように見えつつも、実は”ひとに近づく”という近年掲げていたコンセプトを地道に前に進めていた。
その成果が花開き、大きく爆発するタイミングは、意外に近いのかもしれない。