オープンAIが開発した言語モデルを使えば、Wordのオートコンプリートやオートコレクト機能は向上し、いくつかの単語を基に長いテキストの塊を生成できるだろう。さらに、短いテキストを入力するだけで、完全なPowerPointのプレゼン資料を作成できるかもしれない。
このような機能は、マイクロソフトが若いユーザーを引きつけるのに役立つはずだ。アナリストによると、マイクロソフトのOffice 365は何百万社もの企業が採用しているが、同社はグーグルのGoogle Docsのようなコラボレーション優先のプロダクトで若者にアピールできていない。
「教育分野や大学などでは、Google Docsをデフォルトとして使用する世代がいる。マイクロソフトがこの状況を変える上でChatGPTは強力なツールになる」と、ウェブドッシュ証券のダン・アイブスはフォーブスの取材に述べた。
マイクロソフトは先日、ChatGPTをコンシューマー向けの製品に導入すると同時に、クラウドプラットフォームの「アジュール・オープンAIサービス」にジェネレーティブAIを実装し、有料顧客がChatGPTの基盤となる言語モデルの「GPT-3.5」や画像生成ツールの「Dall E 2」などの高度なAIモデルにアクセス可能にすると発表した。
シアトルに本拠を置くマイクロソフトは2019年に10億ドルをオープンAIに出資し、GPT-3テクノロジーの使用と商業化の独占ライセンスを取得した。同社は現在、この注目のAIスタートアップに100億ドル(約1.3兆円)を出資する方向で交渉中と伝えられている。
グーグルのGoogle DriveやDocs、Meetなどのツールで構成されるGoogle Workspaceの2021年のユーザー数は30億人とされるが、有料会員数は700万人と、マイクロソフトのOffice 365の有料会員数を大きく下回っている。WordやExcelなどで構成されるコンシューマー向けのMicrosoft 365の契約者数は5410万人で、3億人以上がさまざまなプランで料金を支払っている。
「マイクロソフトの弱点はコンシューマー向けのカテゴリだが、ChatGPTとAIの導入によって、この分野の成長エンジンにガソリンを注入することになる」と、アイブズは述べている。
マイクロソフトは、すでに自社のソフトウェアにいくつかのAI機能を導入している。Microsoft Editorは、AIを使って文章のトーンを修正し、長い文章の要約を生成可能だが、この機能はChatGPTの技術を使えばさらに洗練されたものになるだろう。また、同社は2020年にAzure AIの顧客がAIを使用して画像にキャプションをつけられると発表した。