HMSのジョージ・デイリー学院長が17日(米国時間)、ハーバードコミュニティーにあてた書簡で、USニューズへのデータの提供をとりやめることを明らかにした。ランキングの方法論にいくつか懸念される点があることを認めつつも、今回の決定にはもっと根本的な理由があると説明している。
「教育界のリーダーたちは、USニューズ・アンド・ワールド・リポートによる医学大学院の評価やランク付け方法を長年批判してきました。ただ、わたしの懸念や他の人たちから耳にしている見解は、方法論よりもむしろ理念にかかわるものであり(中略)、教育の卓越性や大学院生への用意、思いやりのある公平な患者ケアに向けた高い志はランキングではしっかり反映できないという道義的な信念に基づいています」(書簡より)
デイリーは、進学希望者が医学大学院の選択に際して正確で透明性のある情報を得られることの必要性を認め、重要な情報については重みづけされていない生データのかたちでウェブサイトを通じて公開していく方針も明らかにした。今回の決定については6年前に学院長に就任してから熟考してきたという。
HMSはUSニューズの2023年版ランキングで、研究部門では1位、プライマリーケア(1次医療)部門では9位だった。
USニューズの大学ランキングをめぐっては、イェール大学やハーバード大学、スタンフォード大学、ノースウェスタン大学、ジョージタウン大学、コロンビア大学、ミシガン大学、カリフォルニア大学バークレー校といった有名大学の法科大学院も昨年、欠陥があり、学生に育んでもらおうとしている法教育の価値観を表していないとして、参加をやめる考えを表明した。USニューズはその後、法科大学院のランク付け方法にいくつか変更を加えている。
USニューズのエリック・ガートラー最高経営責任者(CEO)はHMSの決定を受けて声明を出し、「共通のデータセットでさまざまな学術機関を比較することの難しさはわたしたちも承知している。だからこそ、ランキングは進学希望者の意思決定過程におけるひとつの判断要素であるべきだと一貫して申し上げてきた」と述べている。
今後、ハーバードに続いてほかの医学大学院も不参加を決めるかが注目される。
(forbes.com 原文)