北米

2023.01.21

どうなるドラッグストア?米国、大手ではウォルマートがトップ5に食い込む

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医薬品業界でも効率化のためにAIを活用

医薬品会社は、ヘルスケアおよびバイオテクノロジー分野において、AI(人工知能)やML(機械学習)を活用する方法を模索しています。多くの企業は、これらの技術を活用して、意思決定の改善、イノベーションの拡大、研究や臨床試験の効率化、医師、消費者、保険会社、規制当局のための新しいツールの作成などが実現できることを期待しています。

AIは、研究開発にかかる時間を短縮し、薬をより安価にし、FDA(米国食品医薬品局)の承認確率を向上させることで、新薬の発見に変革をもたらす可能性があります。また、AIを活用することで、品質管理、廃棄物の削減、生産再利用の改善、予防保全の実行が可能です。MLは、需要過多や需要不足を予測・防止し、サプライチェーンに関する課題や生産ラインでの不具合を修正することができます。

CVS HealthとMicrosoftは、AIとクラウドコンピューティングによるデジタルヘルス変革の加速と、AI、ML、データ、分析を活用したCVS Healthの顧客体験のパーソナライズを目的とし、2021年12月に、高度なMLとMicrosoftのクラウドコンピューティングプラットフォーム「Azure」を活用したリテールパーソナライゼーションとロイヤルティプログラムの向上を目的とした提携を発表しました。

CVS Healthは現在、従来は薬剤師の対応が必要だった処方薬に関する様々なクレームをMLで解決することで、薬剤師が患者と接する時間を増やすことが可能になったといいます。

一方、Walgreensは、顧客プロファイルの構築、パーソナライゼーションの提供、オンライン調剤システムの進化、消費者によるオンライン処方箋の管理などに注力しています。同社はMicrosoftおよびAdobeと提携し、消費者との1対1のコミュニケーションを実現させ、オーダーメイドの処方箋をオンラインで提供することを可能にしました。

また、この提携のもう一つの側面はAdobeのカスタマー・エクスペリエンス・マネジメント(CXM)ソリューションにあり、分析、コンテンツ管理、パーソナライゼーション、キャンペーン管理のサービスをオンラインで提供することを可能にしています。

2022年6月、WalmartはAR(拡張現実)オプティカルテック企業であるMemomiを買収する契約を締結しました。Memomiは2019年以降、SamsClub.comを含め、2800店舗以上のWalmart Vision Centersと、550店舗以上のSams Clubで、すべての両社の顧客に対してデジタル測定を可能にしています。

この買収は、データとテクノロジーの活用により、エンゲージメント、健康の公平性、成果の向上を目指し、統合されたオムニチャネルのヘルスケアを提供するというWalmartの掲げる健康とウェルネスに関する戦略を推進するものです。

2022年7月、世界的な医療技術企業であるBD(Becton, Dickinson and Co.)は、薬局自動化ソリューションを提供するParata Systemsの買収を完了させました。Parataは、拡大する薬局ネットワークを強化する、革新的な薬局自動化ソリューションを提供し、小売、病院、長期介護薬局のコスト削減、患者の安全性向上、患者体験の改善を実現することにより、BDの変革的ソリューション戦略の前進を後押しします。
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文=RxR Innovation Initiative

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