北米

2023.01.21

どうなるドラッグストア?米国、大手ではウォルマートがトップ5に食い込む

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オンライン市場

Coresight Researchでは、健康&パーソナルケア専門店(ドラッグストアを含む)のオンライン売上は、図4に示すように、2021年の73億ドルから2022年には75億ドルに微増すると予測しています。尚、健康&パーソナルケア専門店分野には、眼鏡店や美容専門店など、ドラッグストア以外の小売業者も含まれます。

ロックダウン規制が緩和し、店舗への来店者数が増加したことで、オンライン売上は減少しました。しかし、長期的には、Amazon(最近、テレヘルス企業のOne Medicalを買収)のような大手プレイヤーが同分野に進出したことが大きな促進要因となり、オンラインの健康&パーソナルケア売上は増加すると思われます。また、利便性、手頃な価格、アクセスのしやすさによって消費者の支持が高まることも市場の成長を後押しするでしょう。

ただし、不正なオンライン薬局や未承認の処方箋薬の販売は、消費者のオンライン購入への信頼感を損ない、市場の急速な拡大を妨げる可能性もあるかもしれません。

米国におけるオンライン薬局の成長を促す主な要因としては、患者への直接販売が増加したこと、米国消費者の間で電子処方箋の導入が進んだこと、処方箋の自動充填や顧客関係管理の自動化が進んだことなどが挙げられます。

当社では、米国の健康&パーソナルケア専門小売業者のEコマースの割合は、2022年には1.9%、2026年には3.5%になると推測しています。デジタルの世界が広がり、新しいサービスや使い勝手のいいオンライン体験が登場するにつれ、市場は患者への直接販売モデルへと移行していくと思われ、多くの患者がバーチャルケアやウェルネスを選択肢にいれるようになるでしょう。

図4. 米国の健康&パーソナルケア専門小売業者のオンライン売上高(左軸:10億米ドル)および前年比(右軸:%)の推移


(図内の訳、コメント「健康・パーソナルケア専門小売業者のオンライン売上は、2026年には96億ドルに達する見込み」)
出典:米国国勢調査局/Coresight Research


図5. 米国の健康&パーソナルケア専門小売業者のEコマース割合


(図内の訳、コメント「米国の健康&パーソナルケア専門小売業者のEコマース割合は2026年に3.5%に達する見込み」)
出典:米国国勢調査局/Coresight Research

競合状況

米国のドラッグストア市場は、処方箋薬の調剤許可を持つ小規模な独立薬局とごく少数の大手チェーン、およびOTC医薬品やパーソナルケア、美容製品、雑貨などを扱う一般小売店で構成されています。WalgreensとCVS Healthが独占しており、Rite Aidが3番目の大手企業です。

米国の薬局小売市場は競争が激しく、新たに参入する食料品チェーン、量販店などの数は、過去数年間で着実に増加しています。これらの競合の多くは、市場シェアを獲得するために積極的に広告宣伝を行っています。

大手チェーンは、店舗数の多さ、価格決定力、強力なブランド認知度、高度な技術などの点で優位な立場にあります。また、独立系の薬局は、地域でより良い顧客サービスと専門的な製品を提供することで競争力を維持し、更なる競争力維持のために、高リスクの患者のためのサービスや特別なニーズなどのきめ細かな面に焦点を当てています。
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文=RxR Innovation Initiative

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