北米

2023.01.21 09:00

どうなるドラッグストア?米国、大手ではウォルマートがトップ5に食い込む

労働力不足

米国労働省によると、米国の求人数は労働者数を550万人上回っており、この深刻な労働力不足は近い将来も続くと予想され、米国経済に悪影響を及ぼしています。労働力不足は賃金を上昇させ、インフレをここ数十年で最も高い水準に押し上げています。

Walgreensは2022年度第4四半期の決算説明会で、新型コロナにより薬局サービスの需要が過去最高となる中、薬剤師と薬局技術者の労働市場が逼迫し、一部の市場で人手不足に陥り、処方の増加に対して追い付いてない状態となっていることを説明しました。また、Walmartは6月、薬局技術者の平均時給を20ドル以上に引き上げ、2022年には約5000人の技術者の追加雇用を計画しています。

インフレ

消費財・サービスのインフレ率は過去1年間上昇傾向にあり、2022年9月には前年同月比8.2%の高水準に達しています。処方薬、非処方薬ともにCPIは2022年4月から上昇していますが、2022年9月は前年比で処方薬が2.7%増、非処方薬が5.6%増とやや鈍化しています。価格の上昇傾向は、サプライチェーンや賃金のインフレ圧力を反映していると考えられ、ドラッグストアの利益率にマイナスの影響を与える可能性があるでしょう。

図2. 米国における処方薬(Rx)と非処方薬の前年比インフレ率(CPI変化率)の推移


(図内の訳、コメント「2022年9月の小売価格のインフレ率は、非処方薬で5.6%増、処方薬で2.7%増となっている」)
出典:労働統計局

薬局・薬店のPPI(生産者物価指数)は、国際運賃の高騰や商品価格などのサプライチェーンコストが上昇した結果、3月に3.8%と最高値を記録しました。このため、ドラッグストア市場の利益率は低下し、一部の業者はコスト上昇分を消費者に転嫁するようになりました。

サプライチェーンのボトルネックは2022年の残りの期間も続くと思われ(7月以降は徐々に改善しているものの)、その結果、2021年の大部分で低下していた医薬品の小売価格は継続的に上昇することになるでしょう。

図3. 生産者物価指数の推移:薬局・ドラッグストア(前年同月比)


出典:セントルイス連銀/労働統計局
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文=RxR Innovation Initiative

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