慢性疾患の増加
米国の医療制度は、慢性疾患の負担増と処方箋費用の上昇に直面しています。米国疾病対策予防センター(CDC)によると、米国人の10人に6人が心臓病、脳卒中、がん、糖尿病など少なくとも1つの慢性疾患を抱えており、その数は今後も増加する見通しです。その結果、医薬品の需要が今後も増加し、ドラッグストアは処方箋を調剤するという本来の役割を超えて、より包括的なサービスを消費者へ提供する新たな機会が生まれ、患者のケアやプライマリーヘルスケアサービスへのアクセスを提供する上で重要な役割を果たすようになることが期待されています。
健康とウェルネスに対する関心の高まり
パンデミックにより、多くの人々が健康の重要性に対する認識を変化させました。CVS Healthが実施した調査によると、回答者の約22%は、パンデミックを機に以前よりも健康に気を使うようになったと回答し、44%はパンデミック対策のために新しい健康習慣や目標を取り入れ、12%は新しい健康目標を掲げたと回答しています。健康的なライフスタイルを求める消費者が増えることは、ドラッグストアの市場拡大に大きく貢献することになり、パンデミックへの恐れから、健康診断や検診を受けることを避けては通れなくなるでしょう。このように、消費者がライフスタイルや健康及びフィットネスの目標、疾病予防の仕方を見直す中、ドラッグストアはこうした機会を利用して、栄養食品・飲料、OTC医薬品、健康相談サービスなどの健康関連商品の販売を促進していくことが予想されます。
想定される逆風要因
サプライチェーンにおける課題
新型コロナウィルスによるパンデミックとロシアのウクライナ侵攻により、サプライチェーンがかつてないほど混乱し、企業は供給予測や納期遵守ができない状況に陥っています。医薬品や医療機器の製造に不可欠な部品や原材料の大半は、中国で生産されており、米国食品医薬品局医薬品評価研究センターによると、中国には医薬品有効成分(API)を製造する施設の約13.0%が集中しています。また、中国は米国市場向けの抗生物質や、心臓病などの一般的な慢性疾患の原料や薬剤の主要生産国であり、米国の医薬品やバイオ医薬品の輸入先の第3位となっています。そのため、中国でのロックダウンは、サプライチェーンに深刻な混乱をもたらし続けており、近い将来、医薬品業界の成長を妨げる可能性があります。