北米

2023.01.21

どうなるドラッグストア?米国、大手ではウォルマートがトップ5に食い込む

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ドラッグストア部門は、パンデミックに伴う売上が落ち着く可能性が高いため、2022年は2021年に比べて成長が緩やかになると思われます。とはいえ、2年間の成長率は9.3%程度になると予想しています。2022年の残りの期間も引き続き、輸送コストの上昇、労働・賃金問題、インフレに起因するサプライチェーンの課題に直面することが予想されるため、戦略的な価格調整を行い、競争力を維持し、顧客にアピールするためにコスト削減に努めるでしょう。

2022年は、2021年よりも店舗利用が増えましたが、例えばWalgreensは、2022年度第3四半期の決算説明会で、店舗への来店者数が増えていることを発表しています。しかし、医薬品購入のオンライン利用は、2022年を通じてパンデミック前の水準を上回ると思われます。

オンラインドラッグストアの売上は今後も成長を続けると思われ、中小企業だけでなく、新規参入のスタートアップ企業も市場シェアの拡大を目指すでしょう。その際、消費者の満足度は非常に重要な要素であり、パンデミックを機に消費者の期待は高まり、より低いコスト、より良いサービス、利便性、パーソナライゼーションを求めるようになると思われます。

そのため、既存のプレイヤー同士の間でも厳しい競争状況は続き、その結果、市場リーダーたちは、顧客とのつながり方やデジタルでの存在感を拡大する方法を再考し、再定義しようとしています。CVS HealthやWalgreensなどの業界大手は、デジタルプラットフォームを通じて顧客との交流を深めようとしていますし、Rite Aidもより多くの消費者にアプローチするためにデジタル展開の取り組みを優先して行っています。

また、ドラッグストアは、より良いサービスを提供することで、顧客基盤の拡大を図るようになるでしょう。パンデミックの際に実店舗を避け、オンラインやドライブスルー、郵送で薬を購入する消費者が増えたため、ドラッグストアは、価値ある包括的な医療サービスを提供するなど、店舗での顧客獲得に向けた新たな戦略を採用しています。

ドラッグストアにとっての意味合い

・ドラッグストアの今後の方向性は、消費者主導のインサイトとデータ活用によって、消費者が必要としていることに応え、顧客満足度を確保することでしょう。AIやMLを利用したインサイトやデータ収集を行うことで、一度きりの取引にとどまらない価値を提供し、消費者との長期的な関係を確立することができるでしょう。

・今後、パンデミックに伴う遠隔医療のトレンドが一部の消費者の間で継続することで、薬剤師のような医療提供者との、迅速で便利かつ有意義な1対1のやりとりが期待されるようになるでしょう。

・ドラッグストアは量販店やスーパーマーケットとの競争が激化する中、消費者需要の変化や業界環境の変化に対応するため、その役割をさらに強化し、変革する必要に迫られるでしょう。大手ドラッグストアは、オムニチャネル薬局小売に大規模投資を行い、すべての薬局リソースを連携させるようになり、小売、専門店、通販のすべてを一箇所で提供することで、消費者体験に変革を起こし、最大限の利便性が実現できるようなデジタルファーストのアプローチを構築すると思われます。

・また、差別化された新商品やストアブランドによって、健康とウェルネスへの取り組みを強化し、自社が選択されるようになることに注力し、優れたケア、個人に合わせた商品、価値を提供していくでしょう。

※この記事は、2022年11月にリリースされたRxR Innovation Initiativeからの転載です。

文=RxR Innovation Initiative

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