海外

2023.01.20

香港の「時計売買プラットフォーム」Wristcheckが800万ドルのシード調達

Getty Images

香港に拠点を置く高級腕時計の委託販売のスタートアップ「リストチェック(Wristcheck)」は、アリババの香港起業家ファンドを監督するゴビパートナーズGBAが主導したシードラウンドで800万ドル(約10億円)を調達した。

このラウンドには、マレーシアの富豪ロバート・クオックの孫のクオック・メン・シオンが設立したK3ベンチャーズも参加した。

リストチェックの共同創業者でCEOの上海出身の起業家のオースティン・チュー(26)は、「当社はアジア発のアセットライトな時計の再販プラットフォームとして、初めてグローバルに認知された企業だ」と語る。同社は、価格の完全な透明性を実現し、買い手は売り手の仕入れ値を把握可能という。2020年設立のリストチェックの年間販売総額は8000万ドルに達し、前年比75%の伸びを達成したとされる。

同社はオークションハウスや個人のディーラーよりも低い手数料で、中古時計のリセールサービスを提供しており、新たな資金でサービス地域を東南アジアに広げ、コレクションのポートフォリオ機能やリアルタイムの価格追跡機能をウェブサイトやアプリに追加する計画だ。

リストチェックを支援するゴビパートナーズGBA とK3ベンチャーズは、スニーカーのマーケットプレイスの「Novelship」にも投資している。

リストチェックは、8万人以上のコミュニティメンバーを抱えており、有料会員の43%が30歳以下の若い世代という。「出品者は30歳以上が多く、購入者は30歳以下が多い。私自身も時計の愛好家で、古い時計が次の世代に時計が受け継がれていくのを見ると素晴らしい気分になる」とチューは語る。

現在の時計ブームを牽引しているのは若い消費者だ。デロイトの調査によると、ミレニアル世代とZ世代の約48%が中古時計の購入を検討すると答えているが、この数値は、ベビーブーマー世代では12%という。

AIでニセモノを発見する

しかし、この分野の業者の悩みの種はニセモノだ。2021年のOECDの報告書によると、時計は世界の偽造品市場で5番目に大きなカテゴリだという。リストチェックは、香港と中国本土のテック人材を駆使したAI(人工知能)ツールを開発し、ムーブメントや時計の基盤、デザインを検証する予定という。同社はまた、手作業で検証を行うことで、本物の高級時計と「クローン」を簡単に見分けることができるとチューは述べている。

自身も無類の時計好きだというチューは、ニューヨーク大学の学生だった2016年に、時計コレクターとしての旅を記録するインスタグラムのアカウント「Horoloupe」を立ち上げて人気を博し、2019年にスイスの時計メーカー「オーデマ ピゲ(Audemars Piguet)」とのコラボで限定モデルをリリースした。そして、2020年に元Hypebeastの社員で同社のEコマース部門を率いた共同創業者のショーン・ウォンとリストチェックを立ち上げた。

「会社の設立はパンデミックの真っ只中だったが、明確なビジョンを持つ素晴らしいチームに支えられたおかげで事業を拡大できた」とチューは話した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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