歴史を重ねたメニューのフルコースからのサプライズ
コンサート終了後、ゲストはロビーに隣接するメインダイニングルームに移動。格子天井にやわらかな照明、長野の山々がモチーフになったステンドグラスなど、一世紀を越える歴史を紡いできた空間で、料理長が振る舞うフルコースを堪能。グループごとに丸テーブルに座るのではなく、長いダイニングテーブルに一列で着席するというスタイルがこの日のガラにぴったりだった。面識のないゲストとの同席でも、このホテルの貴重な一日を味わおうという思いと、極上のピアノ演奏を同じ空間で共有したあとということもあって、否応にも一体感が生まれていた。
ディナーの終盤、デザートのタイミングにはラッキードロー(抽選会)が行われた。日本各地のクラシックホテルから万平ホテルのフェアウェルの記念にと、宿泊券が提供されていた。
さらに、藤田真央のモーツァルトのピアノソナタ全集のサイン付きCDも賞品だったのだが、なんと抽選のタイミングで、ダイニングに隣接するバーでウイスキーを飲んでいた本人がサプライズで登場。当選した幸運なゲストにCDを直接手渡して、宴もたけなわに。
雪景色の軽井沢のクラシックホテルにホテルへの敬意を持つゲストたちが集い、藤田真央のピアノの演奏と、歴史あるフルコースを堪能する。コージーでヒストリカルなラグジュアリーを味わえるガラパーティだった。
万平ホテルの歴史の新たな1ページ
ディナー終了時に、西川支配人は「華やかなフォーマルスタイルでパーティを愉しみ食事をされる皆さんの様子が写真で見ていた昔の万平ホテルの姿とシンクロした」と挨拶。万平ホテルのようなクラシックホテルにおいても近年なかなか巡り合うことのない貴重な時間を過ごしたのだなと改めて感じた。「また100年が経ったあと、今夜のパーティの写真を観た人が、万平ホテル100年前の改修のときにこんなガラをやっていたんだ。あの世界的ピアニストの藤田真央がロビーで演奏してたんだね、と言ってもらえるような歴史の1ページになったと思います」という言葉で、会が締められた。
僕は食事のあと、バーで少し飲み、この日はホテルに宿泊。翌朝の朝食まで滞在を満喫し、今の姿の万平ホテルにお別れをした。「Legacy to our Future」、この歴史ある姿がどのように進化していくのか、2024年の再オープンが今から楽しみである。