不要なギフト・カードが「新しいゴールド」になる




使う当てのない 100ドルのギフト・カードより、89ドルの現金のほうがいい。
世界中に溢れる不要ギフト・カードを必要な人に安く売るカード・キャッシュ社のビジネスが大きく成長している。


 センサー付きの鍵で守られた薄暗いオフィスの中では、ユダヤ帽を被った8人の若者がコンピューター画面上にギフト・カードを次々と映し出している。彼らはそのカードを買いたいという人からのオンラインの注文をさばいている。注文を受けて、大きな 金庫から丁寧にカタログ分けされた商品を取ってくるのだが、そこには常時新たな買い手を待つカードが300万ドル分ほど入っている。 注文が確定すると、帽子を被った別のグループの手で郵送される。

(中略)ブルックリン出身のふたりの敬虔なユダヤ教徒は、最悪の不況期の2008年に会社を始めた。彼らは、人々は人気ブランド店アニー・セズで100ドル分買うより、89ドルの現金をもらうほうを好むと考え、インターネット上で、ほかの人々のカードを額面より少し安く買った。それから、買い入れ価格より少し 高いが額面よりは安い価格で売るのである。現在、カード・キャッシュ社は推定8%の利益を上げながら、年末までに1億2,000万ドルの売り上げに向けて順調である。

(中略)カード・キャッシュ社の最大のライバルはプラスチック・ジャングル社だった。シリコン・バレーに本拠を構える同社は、著名なベンチャーキャピタルなどから2,600億ドルほどの資金を得ている。加えて、メディアからも注目されていた格上企業である。その最大のライバルを、この5月にインコム社から買い、ドメイン名、顧客ベース、技術の一部を従業員抜きで手に入れてしまった。どうしてそんなことができたのか?その答えは、より優れたビジネス・モデルと、より良いセキュリティだった。プラスチック・ジャングル社は当初イーベイのように運営されており、カードを保有しなかった。対照的に、カード・キャッシュ社は積極的に仲介を行って商品を揃え、カードの価値を検証した。最近では犯罪認識プログラムや端末推定技術を使って、疑わしいユーザーを認識している。また、エイカーマンが率いるチームが取引データを収集して、特定の買い主、売り主、小売業者からの取引急増や、何らかの不規則性を調査している。それが不正カード混入率1.5%、それによる損金回収率90%という数字に結びついている。「人々は、ギフト・カードがどういう経路で入手されたか、合法的か、不正か知る術がないでしょう」とボームは説明する。
(以下略、)

カーステン・ストラウス

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