「世界最大の太陽光発電プロジェクト」と呼ばれるサンケーブルの事業には、アトラシアン(Atlassian)の創業者で環境保護活動家のマイク・キャノン・ブルックスと、鉱山王のアンドリュー・フォレストの2人が300億豪ドル(約2兆7000億円)を注ごうとしていた。しかし、シンガポールに拠点を置くサンケーブルは1月11日、FTIコンサルティングを任意整理人に任命し、資本増強または事業売却を進めると発表した。
「今回の決定は、株主の意見が合致しないことを受けてのものだ。会社の将来の方向性と資金調達構造に関するコンセンサスを得ることができなかった」と同社は述べている。
サンケーブルは、昨年7月にマッコーリー・キャピタルとモーリス・アンド・カンパニーを共同財務アドバイザーに任命して資金調達を開始し、10月にシンガポールの潜在的な顧客から出資を受けたと発表していた。
「サンケーブルは、2018年の設立以来、非常に多くのことを成し遂げてきた」と、サンケーブルの会長を務めるキャノン・ブルックスは11日の声明で述べた。「私は、このプロジェクトがオーストラリアから、世界にグリーンエネルギーを提供する上で、大きな役割を果たすと確信しており、会社の次のチャプターを支援することを楽しみにしている」
フォーブスは、法人向けソフトウエア企業アトラシアンの共同創業者のブルックスの保有資産を102億ドルと試算している。再生可能エネルギー関連の投資に注力する彼は、自身が運営するGrok Venturesを通じてこの分野に10億豪ドルを投資し、さらに10億豪ドルを投資する予定だ。また、妻のアニーと共同で、気候変動の緩和を目指すNPOに5億豪ドルを寄付することも約束している。
キャノン・ブルックスは、昨年5月に、オーストラリアのエネルギー大手「AGLエナジー」の株式11.3%を取得し、同社の筆頭株主となった。彼は、それ以来、AGLの石炭火力発電所の段階的廃止を加速させるため、同社の取締役に自身が指名した人物を送り込んでいる。
(forbes.com 原文)