2018年にマレーシアに進出したHomageの収益は、2020年に以前の3倍の180万シンガポールドル(約1億7000万円)に拡大し、損失は580万シンガポールから480万シンガポールドルに縮小した。
同社の共同創業者でCEOを務める現在40歳のギリアン・ティー(Gillian Tee)は、メルボルン大学でコンピュータ・サイエンスを学んだ後にコロンビア大学でMBAを取得し、2012年にニューヨークでチケット予約のスタートアップRocketripを設立。その数年後に、故郷に戻って介護関連の事業を立ち上げた。
ティーによると、Homageの売上は2021年に3倍以上に伸び、海外収益は、2021年にオーストラリアに進出して以降の18カ月間で8倍に伸びたという。昨年はフォーブスアジアの注目企業リスト「100 to Watch」に選出された同社は、遠隔医療や医薬品のデリバリーなどにも進出した。
シンガポールでは65歳以上の高齢者が人口に占める割合が約17%に達したが、高齢者人口はアジア太平洋地域全般で増加が続いており、ベイン・アンド・カンパニーのアナリストは、この地域では高スキルな介護人材の確保が急務となっていると指摘する。
シンガポールとマレーシアでは、高齢者の介護は主に家族や住み込みの家政婦らが行ってきたが、Homageはこの状況をデジタルプラットフォームで変えようとしている。
フレキシブルな前払い方式のシステムで介護者を派遣する同社のアプリは、これまで累計1万時間以上のサービスを顧客に提供した。Homageは、アプリ内からの医師との面談を30分以内に設定可能で、介護スタッフを2日以内に派遣するという。
Homageは、2018年のシリーズAで約400万ドルをGolden Gate VenturesとHealthXCapitalから調達したほか、2020年のシリーズBでは、日本のYJキャピタルがイーストベンチャーズらと組成したEV Growth Fundらの主導で、数千万ドル規模の調達を行った。
さらに、2021年9月にはテマセク傘下のSheares Healthcareが主導したシリーズCで3000万ドルを調達した。Homageは、これらの資金をプラットフォームの拡張と、マレーシアとオーストラリアでの海外事業の拡大に充てるという