ファックスはインターネットが普及する前の1980年代後半に文書を送信する手段として脚光を浴びた。ある世代にとっては、あの「ピー」という恐ろしい音の後にファックスから何枚もの紙が飛び出してくるという体験は忘れられないだろう。
だが多くのテクノロジーと同様に、オンラインサービスや電子メールの普及によりファックスの使用は大幅に減少している。しかし最近まで英国の電話事業者2社は、ユニバーサルサービス義務(USO)と呼ばれる制度により、自社のネットワーク上でファックスをサポートする義務を負っていた。しかし、その義務は終わりだ。
英議会はこのほど、USOからファックスサービスを排除することを決議し、現在、電気通信規制当局のOfcomはその規則を改正し、英国のオフィスに長く残っているファックスに最後のベルを鳴らしている。
突然使えなくなるわけではない
Ofcomが声明の中で説明しているように、この規則改正はファックスが突然使えなくなることを意味するものではない。
「この改正はファックスサービスがただちに停止することを意味するものではなく、今後BT(ブリティッシュ・テレコム)とKCOMが規則に基づいてファックスを提供する義務がなくなるというものだ。規則がユニバーサルサービス法における要件を反映し、過度に負担とならないようにするためだ」とOfcomは説明している。
しかし仮にBTとKCOMがそれぞれのネットワーク上でファックスに猶予を与えたとしても、それは長くは続かないだろう。BTはIPネットワークへの全面移行を進めており、ファックスが頼っている固定電話回線の電話網(PSTN)を廃止している最中だ。IPネットワークへの移行は2025年の完了が見込まれている。
ファックスの今後
USOからファックスを排除することに関するOfcomの協議で、国内にはファックスに依存している少数の人々がまだいることが明らかになった。