働き方

2023.01.15

職場での「なまり差別」の問題と対処法

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なまり差別には「偏見」以外の理由も

一方、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校が行った研究では、これが単に「偏見」の問題ではなく、外国なまりの発言は理解しづらいことが背景にあることが示されている。人は、処理が難しく感じる情報を信用しない傾向にあるからだ。

研究では、参加したボランティアに、ポーランド語なまりの話者と、英語が母語の話者がさまざまな豆知識を読み上げる音声を聞いてもらった。結果、英語ネーティブの話者の発言は、ポーランド語なまりの話者の発言よりも信用される傾向にあった。

雇用主側は、労働者階級出身の人への職場差別をなくすため、なまりに関する対応を検討すべきだ。サットン財団の研究チームは、人材採用担当者や人事チームが考慮すべき点をいくつか挙げている。

・多様性施策になまりの問題を含める

最初のステップは、なまりに関する偏見を多様性の問題として受け入れ、性差別や人種差別などと同様に取り組むことだ。

・「プロらしい話し方」の固定観念を再考する

研究チームは、プロフェッショナルは特定の話し方をすべきだという暗黙の了解が多く存在すると指摘している。こうした偏見は、その規範外にいる人にとって明確な障壁となる。

・交流の場に注意する

仕事に関連した交流の場面では、なまりに関する偏見が表面化することが多いので注意が必要だ。例えば、なまりがある人が周囲からからかわれたり、ばかにされたりする可能性がある。こうした場は所属意識を形成する上で重要であり、なまりのある人があっという間に疎外されてしまう恐れがある。

・研修を実施する

なまりに関する偏見を払拭(ふっしょく)する研修の実施を検討しよう。研究チームは例として、職場の採用や評価の決定に関わる全ての社員に次のような文章を配布することを提案している。こうした文章を読ませるだけでも、なまりに関した偏見を減らせるという。

「最近の研究では、英国の面接官は候補者のパフォーマンスを評価する際、候補者の英語のなまりに影響を受ける可能性があることが示されています。特に、『標準的な』英語を話す人を『非標準的な』英語を話す人より好意的に評価する傾向があります。これは、いわゆる『なまりに関する偏見』の一例です。注目するものは、候補者のなまりではなく、知識やスキルであるべきです。候補者の適性を見極める場合は、このことを頭に入れておいてください」

forbes.com 原文

編集=遠藤宗生

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