ガイドラインでは肥満を、栄養価の高い食品を手に入れにくい、運動の機会が少ない、医療を利用しづらいといった要因に関連した慢性疾患と認めている。
12歳以上の肥満の子どもについては、減量薬の処方のほか、行動療法やライフスタイル療法を勧めている。12歳未満に対しては、肥満症の治療という目的のためだけに減量薬の使用を推奨できるほどのエビデンスがなかったという。
13歳以上の高度肥満の子どもに対しては、減量手術を検討することも推奨している。減量のために胃や腸の手術を受けた子どもは、体格指数(BMI)が29%低下したという研究結果がある。
米国の子ども1400万人超が肥満、糖尿病や心臓病に懸念
ガイドラインでは、6歳以上の子どもはBMI測定や動機づけ面接などを通じて、肥満の検査を毎年受けるのが望ましいとしている。米疾病対策センター(CDC)は、子どもの場合、BMIのパーセンタイル値(計測値を小さい順に並べたときに値の順位を百分率で表したもの。50パーセンタイルが中央値)が85パーセンタイル以上95パーセンタイル未満だと「過体重」、95パーセンタイル以上だと「肥満」と判断している。たとえば10歳の少年の場合、BMIが21だと85パーセンタイルとなり過体重、BMIが23だと95パーセンタイルに上がり肥満に該当する。
CDCによると、米国の小児肥満患者は1440万人を超え、2型糖尿病や睡眠時無呼吸症候群、胆のうの疾患、心臓病、ぜんそく、関節や骨の障害などの発症リスクが高くなっている。
小児科学会によると、今回のガイドラインは肥満の予防よりも肥満の治療に焦点を当てたものになっており、前者については別個文書を用意しているという。
改定作業にかかわったサンドラ・ハシンクはプレスリリースで、子どもの肥満患者がライフスタイルや行動、環境を持続可能なやり方で変えていくのを後押しするのが新ガイドラインの目的だと説明している。
米食品医薬品局(FDA)はこれまでに、ノボノルディスクの「ウェゴビー」など、子どもも服用できる減量薬をいくつか承認している。
(forbes.com 原文)