アルノーはLVMHの主要ブランドのひとつ、クリスチャン・ディオールクチュールの会長兼CEOに今年2月、娘のデルフィーヌ(47)が就任すると発表した。
これは、現在進めている各ブランドの経営陣の刷新の一環だという。2018年からクリスチャン・ディオールのトップを務めてきたピエトロ・ベッカーリは同月、長年にわたってルイ・ヴィトンを率い、LVMH全体の年間利益の3分の2近くを稼ぎ出すまでに成長させたマイケル・バークの後任として、ルイ・ヴィトンのCEOとなる。
ベッカーリは、クリスチャン・ディオールのCEO就任から4年間で、売上高をおよそ107億5000万ドルにまで大幅に引き上げたことにより、その手腕を高く評価される人物。クリスチャン・ディオールは、LVMH傘下のブランドのなかで2番目の規模となっている。
一方、現在はルイ・ヴィトンのエグゼクティブ・バイスプレジデントを務め、製品関連の活動のすべてに責任を負う立場にあるデルフィーヌは、アルノーの一人娘で、5人の子どもたちのなかでは最年長。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学び、コンサルタント会社マッキンゼーに2年間務めた後、2000年からLVMHで勤務しており、2003年に女性として初めて、また最年少で、LVMHの取締役のひとりに就任した。
デルフィーヌは2011年、クリスチャン・ディオールの主任デザイナーだったジョン・ガリアーノがパリのバーで反ユダヤ的な発言をしたことが問題となったとき、ブランドが被る損害を最小限にとどめたとして、評価されている。
ガリアーノは問題となった行動が動画に撮影され、インターネット上で拡散されたことで有罪判決を受け、罰金およそ6000ドルの支払いを命じられた。