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2023.01.14

オープンイノベーションを成功させるには?「妄想」と「具現」のメソッド

Getty Images

これらのプロジェクトをもとに、ステークホルダーの熱量が高まる共創プロジェクトの「コツ」を見いだせないものかと各方面から要望を受け、この度「DUAL-CAST™️」というメソッドを公開した。



オープンイノベーションの成功確率を上げるために、共創を軌道に乗せるための手順を体系化しており、部分的にでも実践可能なメソッドになっている。

DUAL-CASTは、Forecast型の「妄想」と、Backcast型の「具現」の前後半に分かれている。「妄想」のゴールは、魅力的で取り組む納得性が高い妄想プロジェクトを可視化すること。そして「具現」のゴールは、妄想を体験化し、共感を呼ぶプロジェクトが動き出すことだ。その先に未来事業が立ち上がる。

DUAL-CASTメソッドは次に示す5つのフェーズで構成される。

1.妄想ワークショップ
2.可視化
3.発信
4.プロトタイピング
5.検証

それぞれおおまかに骨子を捉えるとこうだ。

1.越境的なチームでワークショップでバイアスを脱却した「妄想」を生み出し
2.人々を惹き付ける妄想を、一眼見てわかる形に「可視化」し
3.可視化された妄想を社会に発信し、仲間を見つけ
4.プロトタイプを「具現化」し
5.体験を検証し、フィードバックをうけて事業化につなげる
※各段階の詳細は、書籍「妄想と具現」を参照

このプロセスを経て鮮やかに未来事業の検証に突入している例をひとつ紹介したい。NECの「高速カメラ物体認識技術」をもとに妄想された「SHUTTER GLASS」だ。

SHUTTER Glass | 見過ごす「美」にしおりをはさむメガネ

SHUTTER Glass | 見過ごす「美」にしおりをはさむメガネ


情報量がさらに飛躍する社会では、日常の中に存在する「美しい現象」に目を止めることが、より難しくなっていく。SHUTTER Glassは、日常の美しさを切り取ってくれるメガネだ。

「高速カメラ物体認識技術」により、常にリアルタイムな画像認識を行い続けることで、「美しい」と感じた瞬間を時間や位置情報とともに画像ログ化する。身の回りの「美しい」を見逃さない。身近にある自然の美しさや他者の行動に気づき、身の回りの変化に自分で気づくためのきっかけを提供してくれる。

この未来的なイラストは、実は製造業の現場で使われるNECのカメラ技術をキーテクノロジーとして中心におき、さまざまな他社技術との組み合わせを期待した妄想だ。
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文=出村光世

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